️出遅れ三斗小屋温泉
2002/7/13

夏休みシーズンも近い7月中旬、山仲間とかねて計画してした早池峰山行きが挫折、もう少し近くて温泉に浸かってということで浮上したのが、那須三斗小屋温泉。山登りと組み合わせた日帰りツアー。

相棒はいつものS君と、K君。S君発案のJR東日本のホリデーパス(2000円乗り放題)で行けるところまで行って、そこからレンタカーという格安プランだ。

那須・三斗小屋温泉付近の地形図

好事魔多しという格言は今回も当たり、いきなり赤羽の人身事故でダイヤが遅延。埼京線から乗換えのとき、ホームの駅員さんに「次の列車はいつ?」と尋ねたら。「大幅に乱れているんで…ほら、そこで飛び込みが、まだ跡が残って…」、そんなの見たくないよお。

さて、小山からは、東北道を経由して、那須ロープウェイの先の駐車場まで。そこから西に、三斗小屋温泉までは峠(峰の茶屋)を越えて2時間ほど。一汗かいて辿り着いた、車では行けない高所の温泉は、煙草屋と大黒屋という名前の宿が二軒。いずれも山小屋風。

「すみません、もう日帰り入浴の時間は終わりました」と、小屋のおばさん。
「ええっー」。

朝日岳に登る気力も失せ、もと来た道を引き返すことに。こうなりゃ、帰りに那須湯本で一風呂浴びて…
 山道の途中、延命水という水場があり、荷物が重くなるけど、おいしい水をペットボトルに詰め込んでお持ち帰り。これで帰りの電車で水割り作ってやけ酒かな。

那須湯本には、鹿の湯という古い湯治場風の温泉がある。入浴料は400円。駐車場に車を停めたら、湯あがりの女性が2人。
「鹿の湯は5時までですよ」
「あれれ、またか」
そのとき、時刻は4:45。

ここは引き下がる訳にはいかぬ。とにかく行くべし。温泉入口で尋ねると受付は終了するが、5時25分までなら入っていていいとのこと。こうなりゃ、脱いだもの勝ち。41度から48度まで1度ずつ違う木の浴槽に順番に浸かる。白濁した湯で、温度の差はいい加減だが、鄙びた温泉情緒は充分。かくして所期の目的は、最後に何とか達成。やれやれ。

那須インターから湯本温泉に至る道沿いには、遊園地もあれば、訳の判らない博物館やらがいっぱい(20ではきかないかな)。暇つぶしのリゾート客を狙ったものだろう。温泉地によくある秘宝館を連想する。あまり品も良さそうじゃない。雨後の筍のように最近出来たものか。10年ぐらい前には、こんなになかったんだけど…

帰り道、何気なく道路脇に目をやっていると、ニキ何とかという看板。これも変な博物館のひとつかと思いながら通り過ぎる。まてよ、どこかで聞いたことのある名前だと気になる。

そして、会社で、そのことを思い出して、同じ職場の後輩に尋ねた。
「ねえ、確か去年の夏休み、私に手紙のイタリア語訳を頼んだよね。あれって、どこかの美術館への手紙じゃなかったかな、確かニキ何とかという人の…」
「Niki de Saint Phalleですよ」
「この前の週末に那須に行ったら、その人の美術館らしいのがあったよ。変な博物館だらけの中にあるから、そのひとつかと思ったけど」
「一緒にしてもらっちゃ困りますよ。はるばるローマから鉄道とタクシーを乗り継いで、タロットガーデンに日帰りしたんですから」
「それで、観ている間、タクシーの運ちゃんに待っておいてくれるようにという、イタリア語会話のアンチョコも作ってあげたんだったっけ」
「はい、その節は大変お世話になりました。おかげさまで、不便なところから無事帰還できました。あれのおかげで、タクシー代もボラれずに済みましたし」
「そうかあ、次に那須に行ったら、寄ってみなくっちゃ」
「是非、お奨めしますよ」

(追記)
 那須のニキ美術館は2011年8月をもって閉館したとのこと。

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