秋が来れば思い出す ~ ポルチーニ
2002/9/23

いよいよ食欲の秋、この時期になると思い出す味覚がいっぱいある。去年の今ごろ、初めて食べたもののお話。

その日の夕方、会社でしょーむないメールを打っていたら、いきなり背後から、
「Mさん、きょう6時過ぎから空いてません?」と、他部署の後輩T君が声をかけてきた。
「よかったら、ポルチーニ食べに行きませんか」
「なんや、それ。きょうは寝不足で体調悪いよ」
「でっかいキノコですよ。イタリアの…」
「キノコならフンギやでえ」
「そのでっかいやつ、昨日行って食べて、今日の予約もとれたんですよ」
「連チャンかあ。あんたも好きやねえ。食べたら元気になるかも知れんから、行こか!」

会社から歩いて20分ほどの銀座一丁目のお店、なかなかおいしゅうございました。

ポルチーニはソフトボール大のキノコ。これがメインのセコンド・ピアット。オリーブオイルとニンニクでグリルしたシンプルな料理だがなかなかのもの。味覚はキノコと貝にとどめをさすというのが、くいしんぼうの常識だが、まさにそのとおり。これは付け合わせに頼めば100g1200円ということで、コースで3800円。

ちなみに、私が選んだアンティパストはヒラマサのカルパッチョ、プリモ・ピアットは貝柱とネギのトマトソースのスパゲッティ。尿酸値あがりそう。
 ドルチェはパンナコッタ、そして紅茶。超セッコのスプマンテに、珍しいヴェネト(ヴェネツィアのある北部の州)産の赤ワイン。二人でそれぞれフルボトルだから、よー飲むこと。

レストランの場所

※ 注記
  porcini(キノコの種類)
  funghi(キノコの普通名詞・複数形)
  antipasto(前菜)
  primo piatto(パスタ料理など)
  secondo piatto(メイン料理)
  dolce(デザート、通常は複数形dolciで使う)
  secco(英語だとdry)
  supmante(同sparkling)

言い忘れたけど、店の名前はLA BETTOLA da Ochiaiという。
 夜は3800円のコースのみ。前菜+パスタ+メイン、各々20種類ぐらい。最近近くに2号店がオープンしたらしい。

しょーむないついでに、la bettola(女性名詞)とは簡易食堂とか居酒屋というような意味。当然、il ristorante(男性名詞)やla trattoria(女性名詞)よりも格下のものを指すが、こういうネーミングをするあたり、逆に落合氏の自信のほどが表れているのだろう。

本当かどうか知らないが、ここは"日本一予約のとれないレストラン"ということらしい。半年から一年前ぐらいに予約しないと駄目とか(最近はそんな先の予約は受けないようにしているらしい)。そんなに前から、予定もさることながら、当日のお腹の調子なんて判らないよ。

食べることにかけては、私以上に情熱を燃やすT君、毎月の予約解禁日には電話をかけ、ドタキャンがあったと聞くや早速出かけるという。おかげで、その後、何度か、男二人で最高のイタリア料理を味わうことができた。マメな友だちがいると、いいことがある。

(2015/10/1 追記)

この店を教えてくれたT君が亡くなってもう何年も経つ。食道癌が見つかり手術したあと、虎の門病院に見舞いに行ったときは明るい表情だったのに、一週間ほどして訃報が届いた。この店に行くたび、彼のことが思い出される。

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