️狩野探幽、そして上村松園
2002/11/24

上野公園の木々は紅葉の盛り、そこに銀杏の黄の鮮やかさ。東京都美術館で開催されている狩野探幽展に足を運んだ。いつものことながら、応募はがきでちゃっかり招待券をゲット、わずか5組ということだから私も相当なもの。何てったって、気合いを入れてコメント書いたし。

私が鑑賞したその日に、NHK教育テレビ「日曜美術館」で採り上げていたのも偶然といえば偶然。あとの予定があったので、駆け足の鑑賞となったが、印象的な展覧会だった。動物を描いた作品に私は心惹かれるものがあった。

永徳~孝信~探幽と続く系譜、祖父永徳の素晴らしさは誰しも認めるところだが、探幽という人は評価が大きく分かれているようだ。見直されて来た時期はそんなに古くないとか。徳川初期の御用絵師という立場を駆使して、狩野流が画壇を制覇するという政治力には長けていたようだが、芸術面ではネガティブな意見も多かったらしい。

私は美術の世界に明るい訳でもないので、何とも言えないが、ただその絵を観て、いいと思うかそうでないかという程度。その伝でいけば、うん、なかなかいいんじゃないという感じ。不思議なもので、素人でも本当にいいものは判るというのが芸術の世界かな。

この展覧会を観ていて思い出したのは、この夏、奈良の自宅近くの松柏美術館でカミサンと観た展覧会。同じ日本画と言っても、400年もの隔たりがある。松柏美術館は上村松園~松篁~淳之という三代の作品を所蔵しており、私が行ったときは松園を中心にした企画展だった。日本画を観ることはあまりないのに、松園の筆になるものは、本物の迫力がひしひしと伝わってくる。

見終わってカミサンに言った言葉が、「すごい残酷な展覧会やなあ。親子三代並べたら、才能の違いが歴然やわあ」。カミサン、「そうでしょう!」

芸術家の家系というものは、古今東西多くの事例があるが、偉大な親を超えることが出来なかった子供、親も同じ芸術家だったことさえ忘れられてしまっている偉大な子供、さまざまだ。それが必ずしも評価や権勢とは関係ない(ときには逆)というのも何とも言えないものがある。

ジャンルのトップメニューに戻る。
inserted by FC2 system