月島に始まり、月島に終わる
2003/3/25

一昨年の正月から東京勤務となり2年3か月、4月から大阪に戻ることになり、ここしばらく飲み会続いている。送別される側でご馳走になることが多いが、この日は私のおごり。東京で世話になった後輩に借りを返しておかなくては。

昨年の6月、横浜アリーナでの75,000円という気違いじみた値段の招待券をもらい、一緒に三大テノール・コンサート出かけたU君、そのお礼をしていない。もっとも、これは取引先からのものだから、彼の負担ではなかったのだけど…

会社帰りに向かったのは、川向こうの月島。ここに、いい居酒屋があると聞き及び、予約までして出かけた。「味泉(あじせん)」、小さな店で、カウンターとテープルで20人も入らない。だから予約、ではなく、料理が美味しいという人気の店なので予約。さらに、聞いていた「アナゴの刺身」も予約。そんなもの、この歳になるまで食べたことない。

いったい、どんなものが出てくるのか興味津々、お品書きにはないが、この店の名物のよう。薄造りで、皿に盛りつけられたところは、まるで「てっさ(東京では、ふぐ刺し)」、食感もふぐに近く、味はふぐよりもコクがある。アナゴの天ぷらや煮付けはメニューに書かれているのに、刺身の記載がないのは、その日に新鮮なネタが入るかどうか次第だからか。どうも、常連さんはこれを狙って来ているもよう。

U君も東京単身赴任の身なので、注文はどうしても野菜中心なのが面白い。アナゴのほかは、見事に焼いた茄子、葉わさびのお浸し、ぬた…。東京で、これだけ自然な味付けの和食にありつけることは滅多にない。居酒屋だと、なおさら。「味泉」、下町のれっきとした居酒屋ながら、料理は完全に高級割烹の域。家族でやっているような感じで、おかみさんの言葉は歯切がいいし、よく気のつく人。おやじさんはカウンターの中で料理に専念、帰り際に覗き込んで、「ほんとっ、美味しかったですよ」と声をかけたら、ニッコリ。
 ああ、東京を離れるころになって、近くでこんないい店を知るなんて…。残念。

そう言えば、東京に転勤した直後、同じように月島に橋を渡り、それまで食したことのない「もんじゃ」なるものを試したことがあった。関西人からすれば、あれは「生焼けどころか、全然焼けていない、お好み焼き」、以来、二度と食べる気になれない。東京の下町の人には、馴染んだ味なんだろうけど…。まあ、味覚というものは、長年で体に染みついたものだから。

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