えっ、まだやってるの、甲子園 ~ 潔さの美学とその対極?
2003/10/7

9月の三連休明けの火曜日、朝一番に取引先の某部長から電話がある。
「ほんとうに、ありがとうございました。息子と二人、歴史的瞬間に立ち会うことが出来ました!!!」
「えっ、やっぱり最後まで残っておられたんですか!終わってからだいぶ時間があったでしょう」
「スクリーンで横浜の様子を映していたし、そんなの、誰も帰りませんよ!!!」
「いやあ、そうですか。それはお疲れさまでした」

会社で買っているシーズンチケット、「もう、これは消化試合になると思いますけど、よかったら、どうぞ」と差し上げたのが、まさかのBINGO!
 そもそも、これは雨で流れた試合用の予備券だから、日にちはおろか、対戦カードすら書いていないという代物(もし、チケット屋に持ち込めば、万単位の値段がついたのだろうが)
 これは、9月15日の甲子園球場、阪神・広島戦のこと。私もテレビを見ながら某部長の姿を探したが、そんなの判るはずもない大観衆。まあ、これだけ喜んでもらえると、こちらも嬉しいものだ。

そんなことで、大阪のその後のフィーバーぶりは既報のとおり。今日、家に帰ってテレビをつけたら地元神戸のUHFサンテレビでは、しつこく阪神・巨人戦をやっている。「えっ、まだシーズン終わってないの」という感じ、どうも、これがジャイアンツの最終戦らしい。
 試合は6-2でジャイアンツの勝ち、食事をしながら横目で見ていたのに、不覚にも最後はウルウル状態に。星野監督が原監督を抱きかかえるように花束を渡して、そしてビジターチームの監督なのに、スタンドに向かってマイクを通じて挨拶を…
 これも優勝チームとしての度量なのだろうが、反読売の塊の阪神ファンたちが盛大な拍手声援で原監督を讃えていたのは、ちょっとした驚きだ。

シーズン終盤のオーナーとの確執、"潔すぎる"とも言われた辞任、プロスポーツの世界にもサラリーマン社会の縮図を見るようなところがあり、今回の件は人ごととは思えないような気がする。ジャイアンツは嫌いだけど、原監督の挨拶は立派だったし、一連の行動もひとつの美学で、私は共感するところ大。
 もう一方の当事者、渡邉恒雄オーナー、その言動が野球ファンからは顰蹙の的で老醜をさらしているとしか見えないが、この人はもっと複雑な人物のよう。 魚住昭「渡邉恒雄メディアと権力」(講談社)という本を読むと、左派から右派への変わり身、社内権力闘争、政界との癒着と、この人物の辿ってきた経緯の桁外れさが判る。刊行のしばらく後に、図書館で借りて読んだ本だが、その後、この本を書店はおろか図書館で見かけることもないのはどうしてだろう…

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