️寂しい秋 ~ 無常を知る
2003/10/23

仕事の関係で必ず目を通す日本経済新聞の三面記事、とは言っても社会ネタではなく、訃報。取引先の元役員といったケースが多いのだが、ときに思わぬ名前を目にして暗然とすることがある。

「気象庁予報部数値予報課長の中村一氏が死去」
 中村一氏(なかむら・はじめ=気象庁予報部数値予報課長)18日、感染性心内膜炎のため死去、54歳。(後略)

9月27日に、このホームページで触れたN氏とは、中村さんのこと。私が大学一年生のときの四年生、クラブ(ワンダーフォーゲル部)の先輩だ。

この日、私は参加できなかったが、東京で三学年合同OB会(四学年でないのは、入試中止で三年生がいなかった)があり、中村さんの元気な写真もメールで送られてきたばかりだったので、余計に…

同期からのメールで、記事より前に急死を知っていたが、改めて黒いラインが引かれた活字を見ると、何とも言えない寂寥感がある。

東京に単身赴任していた2年3か月の間に、ひとつ下の年次の元部下、直前の部署の二人の上司が在職死と、相次いだ早世(いずれも癌)を目の辺りにして、人生観が変わる思いがしたのは、ついこのあいだのことなのに…

いちおう体育会(何故か私の母校では「運動会」と称する)系クラブの常として、一年生から見れば怖い四年生が多かった中にあって、中村さんは心優しい人だった。同期のS君に言わせれば、「合宿中の怪我で中村さんに付き添われ途中下山したとき、こっそりとアイスクリームをご馳走になった」という秘話があるとか(持参食料以外の買い食いなどは御法度)。

この時の白山山系は、私も同じパーティで、連続10日以上も雨に見舞われ、とうとうシュラフまでびしょ濡れになったという因縁の合宿だった。私たちの学年が、最初の合宿で酷い目にあいながら、四年まで続いたというのは、物好きと言うか、中村さんをはじめとする魅力的な先輩たちのおかげかも知れない。

「五十代を乗り切れば、六十代は平気」などと言う人がいるが、確かに、仕事でもそれ以外でも、色々な困難に遭遇するし、それを克服する体力・気力とのバランスが崩れやすい年代なんだろうか…

故人の冥福を祈りたい。

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