「ただひとつ」 ~ ついに親子同窓
2004/4/12

この日、東京大学の入学式。いまどき、日本武道館で入学式をやるのか。

東京の住まいの物色や契約やらで、先月に私も二度ほど東京に行ったが、息子の入学式に会社を休んで行く気もしない。そそも、私の場合、東京に出かけたのも、「神々の黄昏」(ワーグナー)と「サロメ」(R.シュトラウス)と、連日のオペラ鑑賞という不埒な目的もあったからだし。

この入学式、「行ってきたら、どう」と水を向けたら、おかあちゃん、一も二もなく「いくーっ!」

かくして、小学校には欠席届、次男を連れての上京となる。そりゃそうかな、言わば、これも母親の勲章なんでしょう。土曜日から2泊3日、駒場キャンパスにも行ってきたようだ。

入学式そのものは、帰ってきたおかあちゃんに話を聞くと、昔とえらい違いのようだ。

1971年の入学式の記憶はほとんどない。確か、あのときは東京体育館で、しょぼい式典だったような。新入生が2000人以上、一人につき二人までの家族参加が認められるらしく、単純に計算しても6000人、キャパからすると武道館程度の会場が必要になるのだろう。

応援団付きグリークラブによる「ただひとつ」(知名度では「都の西北」や「紺碧の空」に遙かに及ばない大学の応援歌)で開幕、ハーバード大学やソウル大学の総長のビデオレターでの祝辞、東大オーケストラによる「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の前奏曲とくるから、こりゃちょっとしたイベントのようです。

笑ってしまったのは、新入生に配られていた式次第、その間違いの訂正がアナウンスされたらしく、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲の作曲家がバッハとあるのはワーグナーと、ご丁寧に。

しかし、ナチスドイツのテーマ音楽のような「マイスタージンガー」を演奏するよりも、ブラームスの「大学祝典序曲」でもやればいいのにねえ。おっと、これも私より上の世代にとっては、旺文社の受験番組のテーマで使われていたものだから嫌な思い出かも。

そんな話を大学のクラブ同期にしたところ、M君が言うには、彼と同期入社の人が、最近会社を辞めて東大の副理事に就任したらしい。その人は広報担当でもあり、今回の入学式に「華」がないため、「ハーバードの学長さんからビデオレターでももらったらどうですか」と提案したらしい。「ビデオレターって?」から話が始まり、でも面白そうだとわかると、3日後には了解を取り付けるとは役所仕事らしくない。

民間から経営スタッフを迎え入れるなど、独立行政法人化ならではのさばけたところを見せている東大だが、その人以外の役員は皆東大出身でなかなか調子が合わないようだ。話戻って、件のバッハの「マイスタージンガー」、彼の失態でないことを祈るばかりですとはM君の弁。

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