️京都・奈良、あっちこっち ~ ドイツ・イタリア、お国ぶり
2004/10/31

突然、イタリア語のメールが届いてびっくり。「10月の末にグループツアーで日本に行くからね」と、ピサ在住のご夫妻。勤続20周年の休暇に家族でオーストラリアに出かけたとき、お知り合いになった人たちだ。あれはシドニーの水族館。夜遅くまで開いていたので夕食後に入館、さすがに閑散としていて人の姿はちらほらだった。回っているうち、近くから耳慣れた言葉が聞こえてきて、片言のイタリア語で声をかけたのが始まり。

そのときは、こちらが家族連れという気安さもあつたのだろう、こっちが一言しゃべると十言ぐらい、まるで機関銃のようにポンポンと言葉が飛んできた。私の語学力じゃついていけない。あげく、「ピサにおいで、うちに泊まったらいいよ。アドレスはここだよ」なんてことに。

その後、カードのやりとりがあり、ついに日本上陸、マルコポーロも辿り着けなかったシルクロードの終着点、奈良までやって来ましたか。

"キョートホテルオクロ"というのはどこなんだろう。メールに書いてあったホテルの名前に心当たりはない。京都ホテルに電話したら、名前が変わって今は"京都ホテルオークラ"になっているそうな。先方の予定も判然としないし、とりあえず、おみやげをホテルにことづけに行った。地下鉄東西線に乗るのも初めて、京都市役所前下車。近代的なホテルと古めかしい市役所が通りを挟んでいる。日曜のこと、市役所の前ではフリーマーケットが開催中。ついでに、これまた向かいの、行ったことのなかった本能寺で、ビルの谷間の殺風景な信長の墓を見てきた。そのまま寺町通りを南下、蛸薬師の前を通って四条から京阪電車。

先方は予定通り奈良にバスツアーのようだ。奈良に戻って平城京の朱雀門あたりで張り込んでいると、彼らに遭遇するかも知れない。と、乗換の丹波橋の駅でカミサンから携帯に電話、13:00に奈良のフジタホテルで食事と。ツアーガイドの人から電話が入ったそうだ。それで、奈良に引き返す。

ちょうどうまい具合に奈良行き急行が来たので乗車、空いている車内には向かいの席に外人夫婦、耳に入る会話の言葉はドイツ語の模様。コンビニおにぎりとペットボトルのお茶で、ガイドブックを見ながらお昼ご飯のよう。京都・奈良間は近鉄特急で約30分、15分毎に出ているが大和西大寺で乗換になることが多い。特急料金も要らない、しかも大して所要時間も変わらない直通の急行を選んで乗るなんて、ただ者ではない。

さて、カミサンと次男と待ち合わせてフジタホテルに到着、予定の13:00になってもイタリア人の団体の姿はない。「まあ、30分ぐらい遅れて普通じゃない」と私。やはり、予想どおり。

おおーっ、入口から老夫婦が突進してきたぞ。カミサン、子供に抱きつき、私に握手、「大きくなったねえ」と。幼稚園児が小学6年生になったのだから当たり前。素敵な銀細工の贈り物を頂戴する。ピサからのおみやげ。またしても「ピサにおいで、泊まるところもあるからね」

20人ぐらいの団体だろうか、ほんと賑やかなこと。写真やビデオを撮りまくり。イタリア人も今やデジカメ、もちろん日本製。

嵐のようなひとときのあと、彼らと別れ、せっかくだからと奈良公園を散歩、折しもこの週末からは恒例の正倉院展が始まっている。混んでなければ覗いてみようということで、国立博物館の前まで。午後も遅い時間なので列もできていない。ゆっくり観てまわる。1300年ほど前の書き物や衣装がよく残っているものだ。

おっと、あそこにいるのは近鉄電車のドイツ人夫婦ではないか。急行で奈良まで来て、行く先が正倉院展とはシブすぎる。何とまあ。思わず電車の中のおにぎりシーンを思い出し笑みがもれる。もともと、そういう美術趣味の人なのかも知れないが、何とも言えぬ堅実さ、いかにもドイツ人。

京都と奈良を駆けめぐった一日、遭遇したドイツ人とイタリア人、いよいよ秋の観光シーズンの訪れだ。

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