Panasonic Let's noteで一太郎2005を使う
2005/2/12

ニュースを聞いて、瞬間、「この裁判官、アホちゃうか」と思った。今月1日のこと。そもそも、この程度のことを特許として認めたことがおかしいと思うのだが、それを楯に提訴した松下も松下だなあ。

「一太郎」「花子」製造・販売差し止め命令・松下電器が勝訴 --- NIKKEI NETから引用

文書作成ソフト大手、ジャストシステム(徳島市)のワープロソフト「一太郎」とグラフィックソフト「花子」で使われている技術が特許権を侵害しているとして、松下電器産業が両ソフトの製造・販売差し止めなどを求めた訴訟の判決が1日、東京地裁であった。高部真規子裁判長は特許権侵害を認め、両ソフトの製造・販売の差し止めと在庫の廃棄を命じた。
 ジャスト側は控訴する方針。判決には仮執行宣言が付いておらず、判決が確定するまで効力は生じない。また判決は利用者の使用を妨げない。
 問題になったのは、ソフト利用時にパソコン画面上で、「?」マークとマウスの絵を組み合わせた「ヘルプモード」ボタンを選択した後、「新規作成」「印刷」などの機能を実行する別のボタンを選択すると、その機能の内容を説明する文章が表示される技術。
 松下側は、1989年に出願、98年に登録した特許を、ジャスト側が侵害しているとして、提訴していた。

当然、ジャストシステムは控訴したので、一太郎の販売は継続されるのだが、いざとなれば、問題の機能を外したらいいだけか。一太郎の価値はそんなところにあるのではなく、日本語ワードプロセッサとしての肌理細かさだし、世の中に"唯一"存在する日本語変換ソフトATOKの価値なのだから。

当の機能自体、私は存在すら知らなかったし、該当のアイコンが含まれるツールバーは必要もないので非表示にしている。あっても邪魔にはならないけど、という類の機能だろう。そんな機能があることを知っている人は、そもそもヘルプメッセージなど読む必要のない人だから、意味のないこと。革新性などとは無縁なありふれたコード、これを特許だとして今頃提訴する松下は大人気ないという印象だ。多数の一太郎ユーザーのあいだで、"Buyサンヨー"ならぬ、"Don't buyマツシタ"運動が起きたらどうするんだろう。

松下のパソコンPanasonic Let's noteを三台続けて愛用している私、一方で一太郎はVer.3以来の付き合いだから、こちらはもっと長い。ハードとソフトという違いはあるが、ともにベストだと思うだけに、この争いは不毛だ。手を携えて戦うべき相手は他にあるんじゃないのかな。

オープンソースがソフトウェアの機能向上や普及に資することは常識、過度な知的財産権の保護はかえって有害だ。創意・創作そのものは著作権で保護すべきにしても、それに付随した商魂を保護するのが本旨ではないはず。胡散臭いところも多い著作隣接権を同一視するのはいかがなものか。

松下という会社は、今ひとつエクセレントカンパニーたり得ないところがあるような気がする。換言すれば尊敬される会社とは言えないところがある。"大字"付きの本社所在地に象徴されるように、やはり田舎企業ということなのかなあ。

業績急回復に導いた中村社長の手腕は大したものだが、ここに来てちょっと首をかしげるようなことが目につく。米国流なのかも知れないが、日本人の(そして多くの松下マンの)感覚からずれたところがあるような…

特許裁判もその一つだが、先日の「週刊文春」の記事("松下電器「接待禁止令」で新地ホステスの悲鳴、割り勘もダメ")にしてもそうだ。ロジカルには反論できないことだとしても、ちょっと極端。まして、マスコミを使って社内や取引先への周知徹底を企図したのだとすれば、何とも後味の悪いこと。

税金・社会保険料負担を節減するためにボーナスの年一回化という、なんだかせこい話もある。犯罪的とは言えないが、私は企業citizenとしての意識の希薄さを感じる。松下"中華"思想とでも言えるものが、地下水脈のように流れているのかしら。

仕事の上でも多少の関係があるし、人も大勢知っていますが、個人としてはモラールも高く、とてもよく働く人たちで、人間的にも立派な方が多いのに、集団・組織・企業だとあれれということが時に起こる。社風というのか、会社のDNAというのか…

ともあれ、今回はヴァージョンアップするつもりはなかったけど、義憤に駆られて一昨日発売の"一太郎2005を衝動買い。天の邪鬼な私、がんばれジャスト!

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