今井町並み散歩 ~ 文化財、いいような、わるいような
2005/5/15

前にも一度訪れたことのある橿原市の今井町、ここは古い町並みで有名なところだ。ここで年に一度、町中にある重要文化財の家屋が公開される。現に人が住んでいる家だから、勝手に覗くわけにはいかないので、こんな行事が始まったのだろう。

このイベントにあわせて、町内で開催されている書道展に出かけるのが、カミサンとそのお友だち二人の目的、親しい先生の作品が出ているとのことだった。要するに、"とうちゃんタクシー"の出動となる。

二人が展覧会を見ている間に、私は町をぐるっと一周。歩いて回るしかないが、そんなに時間はかからない。大和盆地に多い環濠集落で、濠は町の西の端、今西家住宅あたりに残っているだけ。
 この隣の神社では御輿が野外展示されていて、近所の子供が遊んでいる。今日がお祭りということではないだろうから、あくまでイベントにあわせたものか。

町中は東西に狭い道が何本も走っているが、南北の道の本数は少ない。しかも両方向の道が直交するのではなく、わざとずらせて見通しが効かないようにしている。道の幅は2mちょっとかな。軽自動車なら何とか通れるが、普通車だと苦しそう。人だけが通る町中の道幅は、どこでもこれぐらいのサイズになるんだろう。一度だけ訪れたヴェネツィアの迷路のような道もこんな幅だった。

やっぱり、あった。杉玉をぶら下げたこれも重要文化財の酒屋、もちろん営業中。今井の地酒「出世男」という銘柄のよう。絞りたて生酒を試飲して、甕から入れてもらって小瓶を購入、500円。こういうところは目ざとい。

町中のメインストリートでは六齋市というのが行われていて、両側に露店で通行もままならない状態。県内の食べ物、山野草、おもちゃ、アクセサリー、手作り品、おばちゃん向けの雑貨やババシャツ、まさに種々雑多。ひやかすだけで、買うようなものはあまりない。

文化財の旧家は天井が高い。そして、入ったことろの土間には竈。そう、昔の家はこんなだったなあ。小学校に入る前まで住んでいた榛原町の家にも竈があって、それで母親は炊事していた。この竈の上は暖かいから、上のほうの梁にはよく青大将が出没したものだ。一度夜中におしっこに行こうとして、そいつを踏んづけてギャッと叫んだことがありました。以来、蛇は苦手で。

まあ、しかし、こんな古い町に住んでいる人は大変だ。観光客は情緒があってとか何とか言うもののの、眺めるのと暮らすのでは違うし。銀行などの建物もここでは古い町並みにフィットするような町屋風の外観、いろいろと規制があるようだ。補助金があるのかも知れませんが、家屋を改築するのも高くつくことだろう。案の定、狭い路地の裏手に入ると、崩れかけた土塀、傾いた柱の家なども散見される。こんなお家は、ここに住む若い人がいなくなったのかも知れない。

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