二度目の大阪ドーム ~ お疲れ、延長12回
2005/6/22
喫煙者には棲みにくい世の中となった。しかし、逆に社内の喫煙コーナーに人が集まり、他部署の人とのインフォーマル・コミュニケーションが活発になるという現象も。
ひょんなことから、喫煙コーナーでドラゴンズファンを発見、一緒に応援に行こうという話で盛り上がる。なにしろ、ここは大阪、意気軒昂なタイガースファンの陰で普段は身を潜めていた同志、それが3人揃ったのだから、行かない手はない。だが、その話を聞きつけた敵方も日程をあわせて動員ということになり、あっという間にトラ側は5人。仲良く(?)3塁側と1塁側に分かれて観戦。
夕方、取引先から直帰ということでドームに直行。何とか18:00の試合開始の前に到着。まさか、それが5時間に及ぶ試合の始まりとは…。
スコアはご覧のとおり。エース川上憲伸の登板、ドラゴンズは序盤に得点を重ね、今夜は左うちわの展開と、ビールもうまい。ははは。ところが、伏兵鳥谷のソロホームランで雲行きが怪しくなり、5回には同点に。ドームに響くトラキチの応援のボルテージの高いこと。
そこから試合は膠着状態。ランナーは出るがホームベースが遠い。9回2アウトから立浪のレフト前タイムリーヒットで勝ち越しかと思ったら、井端が本塁タッチアウト。あーあ。
「今の、どうですか」と、試合中のポイントポイントでかかってくる1塁側からの携帯電話、「うーん、惜しかったなあ。審判がアウトちゅうから、しゃあないんちゃう」。
さて、その裏も、全く同じ展開、2アウト1・2塁から赤星のレフト前への痛烈なヒット、すわサヨナラ勝ちと阪神ファン総立ち、ところがどっこい、ホームベース手前5メートルで、福留からのボールはキャッチャーのミットに。
「どう、今の、やっぱりアウトやろなー」、「……」、ふっふっふ、携帯で3塁側からの逆襲だ。
10回表にもドラゴンズのチャンスが、1アウトからヒットで出塁した福留が続くアレックスのフォアボールのあと、意表を突く三塁盗塁に成功、今度こそ外野フライでも勝ち越し、1塁側から出張してきていたサラリーマンとは見えない応援コスチュームの同僚、「やばー」と退散。でも、そのあとが二者連続三振とはねえ。
すでに時計は午後10時を大きく回り、12回表のドラゴンズがゼロに終わり勝ちがなくなった時点で、中日側3名は帰路に。最後まで観てたら、電車も混むし、家に着いたら明日になるし…
JR環状線の車内で、携帯のメールに着信あり。「鳥谷のサヨナラホームランで、今"六甲おろし"歌ってまーす」、「1本目はトイレ休憩で、2本目は球場出てたし、ホームランなんて見てないもん」
まあ、呉越同舟のナイター観戦も、けっこう盛り上がるようで。
余談。大ショックのドラゴンズファンだったが、一緒に観戦した後輩職員は、帰宅後3時間睡眠で、日本vsブラジルのサッカーコンフェデレーション杯の中継(2-2の会心の引き分け)を見たそうな。こんなことなら、ナイターは翌日(ドラゴンズ逆転で快勝)にして、午後9時就寝、4時起床というパターンにすればよかったなあ。
さらに、余談。この前、大阪ドームに入ったのはもう5年前、野球観戦でもなければ、コンサートでもない、何とお葬式だった。それは、マイカルグループ合同葬ということで、亡くなった小林会長の社葬。
社葬というものに参列するのは初めてで、取引先でもあり出かけた。大阪ドームは、グランド部分の人工芝が取り払われ、一面に椅子が並べられ、その数は優に一万を超えていた。予想通りセンタースコアボードのスクリーンに遺影ならぬ小林会長在りし日の映像が流れ、外野後方に巨大な祭壇がしつらえられていた。下手に小編成のオーケストラ(ピアノ、ホルン、オーボエ、弦四部各1~2)、上手にコーラス(混声四部)、開式ではバックネット裏から遺骨が入場するという段取り。いきなり献奏ということで、小林会長の愛唱歌らしい「白いブランコ」と、堀内孝夫の演歌2曲(この方面に疎いので曲名は失念)が、オーケストラで演奏されたのは異色。
弔辞は葬儀委員長の宇都宮社長をはじめ、イトーヨーカ堂の鈴木社長など4~5名、弔電は故小渕首相のみ紹介。参列者は焼香だと後の換気が大変なので、献花。祭壇の前に、これまた巨大なプールがありそこで各自が花一輪を流し込むスタイルだった。
2月の厳寒の日、会場を大阪ドームにしたのは正解。会場代はそれほどではないにしろ、このセレモニーの運営にはマイカルグループ役職者の全国からの出張も考えると億単位の経費であったろうと推察する。VTRでは小林会長の生前の業績を中心にまとめられていたが、強気で拡大一途の経営であったことがよく判る。拡大路線についての会長・社長の確執は週刊誌ネタにもなり、その直後の会長逝去であり、マイカル関係者の心境も複雑なものがあったはず。さらには、その一年あまりの後、グリコ森永事件のころの大阪府警本部長だった四方社長の下で民事再生法適用となった訳だから、この会社の運命は数奇なものがある。
そういえば、今や大阪ドームも実質破綻状態、世の中の移り変わりは速い。