涼を求めて ~ 八淵の滝・八雲ヶ原湿原
2005/7/18

気象庁も遅ればせの梅雨明け宣言を出したようだけど、先週末から鳴き出した蝉の声を聞いていたら、そんなことは百も承知。もう充分に夏バテしているこの頃、山登りをするなら沢筋に限る。と言うことで、比良の谷へ。"日本の滝100選"にもラインアップされている八淵の滝を訪れた。そこから尾根に上が れば、近畿では稀な高層湿原の八雲ヶ原。登山リフトとロープウェイが営業中止となった今、きっと静かなことだろうという予測のもとに。

スタートはJR湖西線の近江高島駅、週末のみ運行のガリバー旅行村行きのバスに乗る。比良山系の北側から食い込む鴨川沿いに回り込んだところが件のキャンプ場で、バスが出る閑散とした駅前には異様なガリバー像、なんだか妙な景観だ。

30分ほどで到着したガリバー旅行村を素通りして沢筋に入る。八淵の滝とは、下流から順に、魚止の淵、障子ヶ淵、唐戸の淵、大摺鉢、小摺鉢、屏風ヶ淵、貴船ヶ淵、七遍返し淵という八つの淵というか滝。小さな滝を含めるともっと数が増えるだろう。何本かの遊歩道があって、くどいほど注意の看板・道標が設置されている。曰く、「八淵の滝の下部の魚止の滝、障子の滝は大変危険なので、初心者・子供連れは大摺鉢へのルートを採るように」といった文言が。

もちろん、最下部から遡行を開始。確かに看板の文言は判らなくもない。滝や淵の脇には鎖がフィックスされているし、岩場に人工のホールドも埋め込まれているが、確かに油断すると滑落が起きそうな感じだ。
 岩場では常に三点確保、鎖に頼るときは上体を岩から離す、山登りをやっている人間にとっては当たり前のことが、経験がない人だと心許ない。事実、目の前で滑って転んでという女性がいる。底の平らな運動靴で沢筋を歩くなんて無謀、もうちょっとで滝壺に転落。彼女、きっと心臓が停まりそうだったのでは。

大摺鉢、小摺鉢はプールのよう。でも、水が冷たすぎて、ちょっと泳ぐのは無理だろう。流れもあって、沈んでしまう。飛び込んだら涼しいこと請け合いという感だけど。
 貴船の滝の滝壺の手前で徒渉、上から見ると鎖が沢越えに渡されていて、ちょっと怖そうだが、近づいてみると何と言うことはない。楽々と過ぎて、鎖・梯子で滝の上部に至る。そこから、しばらくあって、最後の七遍返しの滝、ここで八淵の滝は終了。沢筋を離れて30分程度の登りで、ぽっかり八雲ヶ原スキー場の一角に出る。

登山リフトとロープウェイが廃止になり、このスキー場も機械設備が撤去されているのかと思えば、リフトはそのまま。普通ならシーズンオフに取り外すチェアも付いたままだから、冬期に営業再開するとは思えない。みんな取り払って原状に復帰させてほしいものだ。この(元)スキー場から一投足のところに、貴重な八雲ヶ原湿原があるのだし。
 この八雲ヶ原、ずいぶん昔に訪れたことがある。こんなにきれいに木道が整備されていなかったような。まあ、環境庁なんて役所が出来る遙か前のことだ。その頃でも既に山上に導く機械設備があったから、今、ひっそりとしていて、実にいい感じになった。

ロープウェイ山上駅の比良ロッジも閉鎖、扉は閉ざされ、わびしい佇まいだ。そこから釈迦岳(1060m)を経て、大津ワンゲル道から雄松山荘道というルートを近江舞子駅に下る。湖西線の駅に着いたら、16:00少し前。

バブルのころなら大阪通勤圏として住宅を販売していたはずだが、ここもご多分に漏れず駅前の開発は頓挫し閑散状態。ただ、ここは湖側に昔からリゾートホテルがある。ホームで京都行きの列車を待っていると、その近江舞子ホテルに、パトカー、救急車、あげく消防車まで次々と到着、火事でもなさそうなのに。
 牽引されたボートが船着き場の鉄柱に激突、子供が大けがをしたとかの記事が翌朝の新聞に出ていた。志賀町南小松という場所、午後3時過ぎという時刻が符合、そういうことだったのか。夏休み、山も海も事故が多くなる。

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