ほんと、一人だけの山 ~ 比良山系・蛇谷ヶ峰
2005/8/17

頂上を渡る風は、ほんの少し秋を感じるものがある。1000mに満たない低山、暑いには暑いが、それでも過ぎていく季節の趣が。蛇谷ヶ峰(じゃたにがみね、901m)のてっぺんは眺めに優れている。
 ここは比良山系の北の端、東に安曇川の流れと琵琶湖、南に武奈ヶ岳、北に若狭との国境の山々、西には京都の北山、そこでパンツ一丁になって「ああ、気持ちいい」というのは、風雅とはほど遠い。沢筋の登りとはいえ、たっぷり汗をかいたものだから、先ずはTシャツ、靴も脱いだら、ついでにズボンもタイツも。かくしてオヤジの山頂ストリップ、これも登山者が誰一人いない山登りだから。すぐそばで揚羽ものんびり羽を休めている。お盆の夏休みの最終日、ウイークデーの低山はこんなものか。

蛇谷ヶ峰とは、蛇がいっぱい出そうな気持ちの悪い名前、しかし山道で遭遇したのは一匹だけ。こちらの物音で草むらに退散したので尻尾しか目に止まらなかったが、太さの具合からするとマムシかな。カツラ谷という沢筋はこぢんまりした滝が連続、登山道はそれを捲いて付いている。

JR湖西線の安曇川駅からバス、朽木村役場前まで約30分。朽木支所前とバス停の名前が変わっているのは平成の大合併のせい、朽木村から高島市朽木とは二階級特進というところか。キャンプ場など自然体験型のリゾート開発が進んでおり、安曇川を渡って40分ほど車道を歩いた、いきものふれあいの里というところが登山口となる。

麓から見上げる蛇谷ヶ峰で気になったのは、紅葉かと見まごうような枯れ葉をまとった木の多いこと。獣か虫によるものなのか。朽木村では昨年秋にツキノワグマが人を襲うという事件があったようで、クマに注意という看板があった。当のクマは射殺されたが、比良山系には全山で100匹以上は棲息しているらしい。もっとも、その数は少ない数で、レッドデータアニマルに属するものだろう。マムシといいツキノワグマといい、あまり山中で遭遇したくはない生き物だ。

下り道、なんでこんな山道にゴルフボールが落ちてるのと思いきや、近づいてよく見るとキノコ、コシロオニタケという種のよう。大きさといい形といい、どう見てもゴルフボール。どうやら毒キノコのようだが、ネットで捜してもはっきりしない。図書館で図鑑を調べたら、分布は滋賀との記載があったから、たぶんこ れかな。このゴルフボール、開くとふつうのキノコの姿になるようだ。このキノコには何種類かの仲間があり、なかには猛毒と表記されているものもある。一方でこのキノコに含まれる「2-アミノ-3-シクロプロピルブタン酸」という物質にキュウリ炭疽病菌に対する強い抗菌作用があるとかの情報もある。

キノコは味覚の王様、とにかく美味しいのだけど、まだよく判らないことも多く、素人が野生のものに手を出すのは禁物だ。食用となるものと猛毒のものとは紙一重、見かけ判別がつかないこともざらだから。

車が使えなかったので、電車・バスのアクセスがまあまあで、涼しい沢筋の道で、大汗をかいたあとに温泉に下山、そこから歩かなくてもいいところ、それだけの条件を満たす行先でスクリーニングしたのがここ。くつきの湯てんくうで汗を流してすっきりと帰宅。

帰りのバスの広告で気づいたが、入浴券とバスの往復きっぷがセットになった割引チケットが販売されているようだ。1440円、バスの片道が720円だったから、入浴料金600円が実質タダ、もっと早く分かっておればと、あとの祭り。こういうのには目ざといほうなんだけど。もっとも朝の8時には、チケット販売所である駅構内の観光案内所は開いていなかったと思うが。

今回がおろしたての新しい靴は快調、思い切って奮発しただけのことはある。お店で一つ上のサイズを取り寄せてもらい履き比べまでして買ったのだし、オマケに会社の取引先のコネでバーゲン並の割引。それにしても今までよく我慢して、合わなくなった靴を履いていたこと。もう、これで爪先の内出血もないだろう。帰路でも足がじんじん痛むことがないのは、何とも嬉しい。

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