ひょんなことから ~ 四国剣山
2005/11/12

大阪にいても四国にはあまり縁がなく、高校時代に佐田岬半島を歩いただけ。ほかは小豆島に行ったぐらいか。あそこは香川県とはいえ、四国のメインランドではないし。

東京に単身赴任していた頃、何度も山登りに付き合ってくれたS君が9月から高松に単身赴任、こりゃあ今度はこちらが遊んであげなくちゃ。新任地に落ち着いた紅葉の頃に四国の山登りという話が早い時期にまとまり、いよいよ決行の運びとなった次第。

いざ出かけることになり調べてみると、意外、高松は近いし運賃も安い。最低廉だと往復2990円というのだから。これはフェリーでの往復の場合、片道をバスにしても3990円。仕事が終わって神戸から船に乗り、その日のうちに高松着。時間は3時間40分、船内は広いしリラックスできるのがいい。これなら大阪から夜行便フェリーで行けは週末に九州の山登りもできそう。

高松からの足はレンタカー、これまた2日間7000円というキャンペーン価格。安い。スイフトという聞き慣れないスズキ車、コンパクトで走りがいい。あとで聞けば、2006-2006日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞「Most Fun」だとか。なるほどねえ。

当初の予定は徳島県と高知県の境にある三嶺(みうね/さんれい)に登るというもの。四国の山登りの最初に石鎚山でもなく剣山でもない山を目指すとは、お互い40年の山歴で、へその曲がり加減も似たようなものだから。

似たようなものということでは、このあたり、最近よく足を運ぶ紀伊半島の山と近い感じ。どちらも中央構造線断層帯のすぐ南に連なる山なので地勢も類似している。高さの割には山がとても深く、山脈と峡谷に遮られた隠れ里のような村がある。奈良県なら北山村や十津川村、こちら徳島県では祖谷山村。

それで、三嶺に登らなかったのは、林道を車で奥まで詰めて日帰りという算段が、入口の"道路崩壊通行止"の表示に遭遇し、無理をしなかったから。剣山はすぐ近くだし、国道439号が登山リフトの始点見ノ越まで通じているので、あっさり目的地変更。頂上を往復しても、明るいうちに山間部の"酷"道を脱出できると踏んだから。何しろレンタカー営業開始の8時に出発しても、高知道大豊インター経由で西から遠回りしたものだから、お昼を回ってしった。紀伊半島の国道425号に比べたら可愛いものだが、この439号もなかなかタフな道、結局、三嶺は高知県から徳島県へ越える京柱峠から眺めただけになってしまった。

10月から職場が替わり、しばらく山登りをお休みしたのでちょっと不安だったが、登りも下りもノープロブレム。リフトを使わなくても往復4時間程度の歩きやすい道ということもあるし、このひと月、5階の屋上庭園まで日に何度も二段ずつ階段で上がっている効果かも(もっとも、それは煙草を吸うためだけど)。

気圧の谷が東に抜けたあとの高気圧の張り出しで、頂上は相当に風が強い。シコクザサの原で眺めはいい反面、遮るもののない頂上には長居はできない。ここは1955m、近畿のどの山よりも高い。今回は相棒が一緒で、珍しく自分の写真もある。数日後の新聞には剣山の初冠雪が報じられたから、もう少し日程が後ろなら雪景色ということだった。

山頂は植生保護(復元)のため木道が作られているが、少し捲き道のほうに下れば風も弱く、気持ちよくササのなかを行く。頂上から高さにして100mほど下がった捲き道の途中、地図には御神水という水場の表示がある。近づいてみると流れはなく、岩場の基部に井戸状の小穴。覗くと確かに湧き水が。柄杓と漏斗が置かれているので、これを使って、ということだろう。さっそく水筒とお茶のペットボトルに。そこらのミネラルウォーターの比ではない、名水百選のひとつと言うだけのことはある。自宅ではウィスキーを割るのに使ってみた。

この御神水の上部の大きな露岩がお塔石とか呼ばれるもの。大剣神社の裏手にあたり、どうもこれが山名の由来のよう。笹原の広い頂上の"剣"山では違和感があるからなあ。

帰路は北に492号を貞光方面へ、番号の割にはずいぶんとマシな道路で、往路の半分の時間で高松に。もともとが剣山の予定だったらこのルートにしていたはず。徳島県から香川県への山越え193号沿いに潮江温泉というのがあり、そこで一風呂のつもりがカーナビが別の最短経路を探したらしく温泉は経由せず。仕方ないのでS君のアパート近くの銭湯へ。300円とはこれも安い。

翌日に訪れたのは、高松の西、坂出との間にある五色台という高台。瀬戸内海の眺めがよい景勝地のよう。西の瀬戸大橋から東の小豆島あたりまで一望。目の前の島は小槌島と大槌島、向こうの大槌島の北半分は岡山県というから面白い。上から見下ろしても速い潮の流れが判るほど。

この五色台には瀬戸内海歴史民俗資料館という施設があったので見学、そのあと、82番札所の根香寺(ねごろじ)に立ち寄り。
 剣山では紅葉も終わっていたが、この山寺ではちょうどその時期。普段、奈良や京都でお金を取るお寺に慣れていると、拝観料などない四国のお寺は好感が持てる。拝観料収入がなくとも八十八箇所めぐりの人への記帳料で充分な収入があるのだろう。お寺の境内 には、この寺にゆかりの牛鬼の像が。どことなくユーモラス。

ずいぶん昔、宇高連絡船から予讃線に乗り継いだ高松駅はガラス張りのファサードに変わって立派になっている。連絡船が着いたあたりがバスターミナルになったのかな。駅の中を覗いてみたら、JRの駅には珍しい全ての列車が一方向に進むターミナルスタイル。どこかヨーロッパの駅のよう。そして、私は列車に乗らず隣のバスターミナルから大阪なんばに向かう。高松空港近くのJA直販店で買い込んだ野菜・果物をいっぱい抱えて。

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