大和郡山の隠れ家 ~ 「来たむら」
2006/1/28

文楽の三大名作のひとつ、「義経千本桜」に登場する狐、それを祀っているのが大和郡山市洞泉寺町にある源九郎稲荷神社、このすぐ近く、県道108号大和郡山広陵線に面して我が家の行きつけのお店がある。「来たむら」という和食の店、月に一度は来ているだろう。店の奥さんと、ウチのカミサンはすっかりお友だち。今回、ちょっとした届け物もあって、土曜日の家族の外食はここ。

「おまかせ定食二つと、うな重で、させてもらいましょか」と奥さん。ほんわかした人柄がにじむ話し方だ。
 いつも食べるものは決まっていて、大人がおまかせ、子供がうなぎ。もっとも、メニューは他に、うなぎ定食を含め三つだけだけど。
 「あっ、お酒もお願いしますね」
 「常温でしたよね」
 お酒が飲めなくて運転ができるカミサンは、ほんとありがたい。

店の中は20席程度、ゆったりとしたスペースにこだわりの和風インテリア、一歩足を踏み入れれば、ゆったりとした時間が流れる。「すみません」なんて、注文を急いだりすることは野暮、ご主人と奥さん二人でやっている店だから、慌てず騒がず待てばよい。

お酒が付く私には、肴になりそうな小鉢を見繕って先発でお盆が運ばれて来る。カミサンと子供の料理が揃うころには、ちょうど一合が胃袋に消えているという寸法。何も言う必要などない。

ここのうなぎは焦げ目が付くほどしっかり焼いて香ばしくて歯ごたえも充分。そしておまかせは、月替わりのメニューで、今回は魚の西京焼、出汁巻き玉子、小芋・筍・蒟蒻の煮物、鮪の角煮、大根と人参の酢の物、牛蒡の胡麻和え、黒豆、漬物、糟汁、五穀飯、それに食前酒の梅酒のお猪口。それでカミサンはお腹がいっぱい。

おまかせ定食1300円、うな重1000円というから、驚きのお値段。ファミレスの外食なんてアホらしくなる。器もご馳走のうち、趣味のいい信楽でいただく贅沢。以前はコーヒーまで付けていたので、それはいくらなんでもということで別料金に。プラス100円也。

このご夫婦、しっかり稼ごうなんて全く考えておられないみたい。道楽でやっているわけじゃないにしても、店の料理と雰囲気が気に入って来てくれるお客さんがそこそこいたらいいという感じかな。でも、常連になる人は多いようだ。ふらっと入ったのがきっかけで、南フランスから年に二度、帰国の度に必ず訪れる人もいるとか。日曜日と第三土曜日は休み。

客席のコーナーに店の奥さんの好きな犬の置物、レジ横の駕籠にはウチのカミサンの手になる古縮緬を材料にした狐の形の小袋。店のお客さんで求める人がいるとかで、追加の品物を頼まれたのが今回の外食となったわけだ。そう、ここは源九郎稲荷神社の門前。

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