二月堂、深夜の奈良散歩
2006/3/11

家族で外食、焼肉をお腹いっぱい食べて、その足でお寺に向かうとは、あまり感心したことではないが、まあそのあたりは大仏さんに容赦いただき、東大寺へ。

先日から始まっている東大寺の修二会(しゅにえ)、12日の日曜日がクライマックスの大松明やお水取りなので、その前日。

翌日の人出に備えて、車の規制の看板、順路の表示などが整えられている。夜の9時過ぎ、どっちに行ったらいいのか、最初戸惑ったが、東の方に登って行けば二月堂があるはずということで、そちらに向かう。しばらく歩けば、小高くなったあたりに、灯りのともった建物が暗闇の中に浮かぶ。「あっ、あれか」と、そこまで行けば、観光客の姿もちらほらと。

世界遺産がゴロゴロ転がっている奈良に住んでいても、山のほうには出かけても、寺院のほうに観光に訪れることは滅多にない。ましてや著名な年中行事のときとなれば、なおさら敬遠してしまう。それで、ふらっと前日に覗いてみるなんてことに。

翌日の日曜日だと車で出かけるなんてとても無理だが、そこは前日、転害門(てがいもん)のほうから東大寺境内に乗り入れる。これは奥山ドライブウエイに繋がる道で、そのまま真っ直ぐ大仏殿の横まで。そこに車を駐めて歩く。

修二会というのは二週間ほど続く行事で、この期間は二月堂本堂では勤行が行われている。このときも建物の内では何人ものお坊さん(11人らしい)が勤めていたようで、ちょっと中に入って聴いてみた。練行衆(れんぎょうしゅう)のいる中央、本尊の十一面観音があるはずのあたりを取り囲むように畳敷きのスペースがあり、暗くてよく見ないが、お経が聞こえてくる。全員の声明となるころには本堂内外に響き渡るとのことでしたが、私が聞いたときにはソロだけ。

でも、何でこんなに暖かいんだろう。お水取りのときには冷え込むと昔から言われているが、深夜なのにコートなしでも大丈夫なぐらい。日曜日に気圧の谷が通ったら平年並みの寒さに戻るのだろう。

二月堂は少し山手になるので、西の回廊からは奈良市内の夜景が望める。街のあかりを切り取る黒い三角形は大仏殿の伽藍。この二月堂の回廊、足下の木の床には水たまり、欄干もさわってみたらじっとりと湿って…。そりゃそうだろう。翌日には大松明を持った僧侶がここを走り回るのだから、世界遺産に万一のことがあっては大変なこと。そのシーンはニュースで見ることにしよう。

天平勝宝4年(752年)以来、一度も欠かさず行われてきた行事、これが終われば、奈良は春。

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