飯盛山 ~ 酷暑ハイキング、時代物から世話物へ
2006/8/6

冷房が嫌い、しかし職場でも自宅でもこの季節になると、少数派の憂き目、いささか体調不良となる。高校球児じゃないけど、やはり思いっきり汗をかかなくっちゃと、汗を絞り出すハイキングを敢行。このあと近所のスーパー銭湯でサウナに入ったので、ダブルサウナで、気分は爽快。

出かけたのは自宅から山ひとつ越えた飯盛山、わずか300mの山だけど、一汗かくには充分すぎるほど。何しろ、登りだしが2時だから。

スタートは四条畷神社、参拝客の姿もまばらだし、山登りのあいだ駐車場に置かせてもらう。本殿にはお宮参りの家族の姿があり、神主の指示に従い一緒に礼拝。ここは楠正行(小楠公)ゆかりの社、境内には楠正成・正行父子の桜井の別れの像がある。桜井はずっと北に行った三島郡島本町の淀川沿いなので、この地からは距離があるが、まあそれはどうでもいいことか。しかし、今の子供は「青葉茂れる桜井の 里のわたりの夕まぐれ…」という小学唱歌も聞いたことがないだろうなあ。その神社の裏手から登山道が始まる。

樹林の中の道で、日差しは避けられても、暑さからは逃れることは出来ない。すぐに汗がしたたり落ちる。帰宅後、脱いだ半ズボンには塩が吹いていたほど。かなり急な登りを小一時間ほどで山頂、ここにも小楠公の像が建っている。それと、国旗掲揚台なのか、コンクリート造りの古びた小屋がある。窓も扉もなくなっているが、天井のところには「國威宣揚」という文字を刻んだ礎石、そして「四條畷警察署管下警防團」という文字、昭和14年7月7日という日付、時代が偲ばれる。

山頂から南に、地図では城址があるように記載されている。注意深く周りを見回したわけではないが、それらしきものには気づかず。そのうち、府県境の山奥に造られたサーキットからバイクの音がうるさくなる。往路を引き返してもよかったが、同じ急坂を下るのもいまいち、野崎観音に下ることにする。緩い下り道、竹林の中を進むと水場。こんな低い山だけど、意外に冷たくて気持ちがいい。かすかに竹の匂いがする。

山を下りたところは福聚山慈眼寺の裏手の墓地、裏口から参拝となる。墓地の一角には「お染久松の塚」、このカップルは菅専助「染模様妹背門松」や近松半二「新版歌祭文」などの主人公たちで、あまりにも有名。飯盛山登山の起点となった四条畷神社の楠氏も浄瑠璃に採り上げられているから、起点が時代物で終点が世話物とはなかなかのコンビネーションだ。

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