岩湧山 ~ ススキの波のなか
2006/10/8

たぶん三度目の岩湧山(897m)になるだろう。でも、前回はと言えば、ずいぶん昔のこと、それから40年近く経つ。やはりこの時期だったような気がする。友だちとお月見、夜間登山という趣向だったはず。元気な若者がやりそうなことだ。

ここは名山だ。大阪府を取り囲んで、最高峰の金剛山をはじめ多数の山があるが、多くが他府県との境に位置する。金剛山にしても厳密には山頂部分は奈良県、純粋に大阪府内にある名の知れた山は多くはない。なかには日本で一番低い山(4.5m、いちおう三角点はあるらしい)天保山なんてのもあるが、それは冗談としても、山らしい山ならやはり岩湧山かな。

難波駅から南海高野線に乗り紀見峠まで。トンネルを抜けて和歌山県に入ってすぐの紀見峠駅は、昔とあまり変わっていない。すぐ近くにはニジマス釣り場があったりする。もっとも、ちょっと離れた高台は宅地開発されて林間田園都市なんて呼ばれているが。ここから東に向かえば長大な金剛山南尾根、私の山登りのルーツとも言えるところ。高校生のときのトレーニングで、暑いなか重い荷をしょって歩いたのが、その後の山歩きの始まり。

岩湧山へは駅から根古川に沿った道を西に向かう。昔は地道だったはずだが、今はコンクリートで固められている。目当てはアマゴあたりなんだろうか、沢筋には釣人の姿も見える。尾根に取り付いて、紀泉国境の稜線に到達。ここまで、歩き出してから一時間ほど。発達して北上した低気圧の影響がまだ残っているのか、稜線の風は強い。大阪府の周りの稜線をつなぐダイヤモンドトレールという呼称なんて昔はなかったが、ここもその一部。もっとも、そのルートは途中で南葛城山方面に分岐する。

このあたりの山はヒノキとスギの植林で、よく手入れされている。尾根道の途中、大阪平野を見下ろす展望台が設けられていたが、樹木に囲まれてしまって、もはや名ばかり。前に登ったときには大展望が得られたはず。変わらないのは山頂一帯のカヤの原、見事なものだ。背丈を超える高さなので、強い風にあおられて私 の顔を叩く。ときどきススキ越しに金剛山の姿も望める。

やはり、この時期、山頂にはたくさんの登山者が。登山者に連れられた犬も。こんなに眺めがよかったかなあ。大気中の埃が風に吹き飛ばされてしまったからかも。東は金剛葛城、西は高野山方面に連なる峰々、北は大阪平野、湾を隔てて六甲の山並み。麓、富田林のPL教団の変な塔は昔からあったかも知れないが、前に登ったときには絶対になかったものが見える。湾に浮かぶ人工島、離着陸する航空機。40年経てば地図も変わる。

下山は西に針路をとり、滝畑ダムに降りる。これも携帯した1977年版の地図には載っていない滝畑ダム。一時間半ほどの下りなのに、辿り着くころには膝がきつい。しばらくまともな山登りをしていないせいか、歳のせいか、そろそろ友だちが言っていたグルコサミンのサプリが必要かなあ。

滝畑ダムから河内長野までは、市が運営するコミュニティバス。南海電鉄に運行委託して、自治体が赤字を補填しているのだろう。ちょうど、秋祭りの季節、駅までの道すがら、あちこちで法被姿の人だかり。中心には大小のだんじり。良くも悪くも岸和田のだんじりは全国的に有名になっているが、やはり南大阪一帯はだんじり文化のよう。

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