元山上千光寺行場めぐり ~ 今度はもっと近くで
2006/11/5

鷲峰山金胎寺の行場めぐりに行ったあと、ネットで調べたら同じような行場がもっと近くにあることが判明、さっそく出かけた。千光寺は車で30分あまり、以前に一度来たことがあるが、行場があることまでは気づかず。

山門を入ると、左手にユースホステルがある。もちろん、境内の中、何ともユニーク。私は二度目なので車で山門前まで入れることを知っていたが、普通は少し手前から歩くことになる。最後の集落を抜ける腹をすりそうな急勾配、対向は全く不能な道をローギアで登ると、山門前の駐車場に到着、ここには5台程度の駐車が可能。

境内は山の斜面、一段登ったところが観音堂、その奥が行者堂で、役小角を祭っている。なので、ここを元山上と言うらしい。役行者はここで修行を積んで、メジャーリーグ(大峰山)に向かったということだろう。そうそう、思い出した。ここに鉄錫杖と鉄下駄のセットが置いてあった。何だろうとそのときも能書きを読んだが、もう忘れている。曰く、「男子、鉄錫杖を3回持ち上げれば良き嫁子を授る。女子、鉄下駄をはいて3歩あゆめば玉の輿の良縁来る。一心に神変大菩薩の加護を祈って挑戦してください」とある。今さら試すような歳でもないし、実践はしなかったが、どちらもけっこう重そうではある。なんだか「巨人の星」、星飛雄馬が出てきそうな感じ。

さて、行場、山門の前から千光寺の塀沿いに左に進み、山登りとなる。一昨日に迂回してしまった「平等岩」がここにもある。道ばたの巨岩に鎖が付けられていて、ひょいと登れるので「大したことないなあ」と思って上から見下ろせば、「わわっ」、向こう側はストンと落ちている。こっちにも鎖が付いているので、ちょっと岩を乗っ越してみるが、「おお、こわ」というところ。垂直の一枚岩に「平等岩」というネーミングは鷲峰山と同じ。どちらも役行者ゆかりの地だから、同じパターンの名付けということなのか。

「平等岩」の後は「大黒石」、「蛙石」と続く。「大黒石」は高さ2mあまりの岩、ボルダリングのゲレンデになりそうな感じで、けっこう難易度は高そう。腕力もないし、スニーカーではよじ登ることもならず。
 「蛙石」は、いったいここでどんな行をしたのか解らない。フィジカルというよりもメンタルな何かだろう。続く「蛇腹石」も同様、標識がなければ普通の山道。
 このあたりで、千光寺の西側の稜線に出て、尾根歩きとなる。高圧線の鉄塔の下を通り、少し進めば「西の覗」。やっとここで麓の視界が開ける。龍田川の断層を挟んで東側の矢田丘陵の稜線が望める。ここは稜線上の巨岩で、絶壁でもないから、岩の上に乗っかってゆっくりとお弁当。朝ご飯の残りの出汁巻きと塩昆布、自分でつくったおにぎり。なかなかのもの。

行場めぐりをするような酔狂な登山者は他にはおらず、静かなもの。道標は立派で、コンクリートにタイルを埋め込んで造っている。「右、裏行場」とあるから、辿ってきた道は表行場ということか。これで千光寺への回遊コースとなるのかな。
 裏行場は稜線から斜面を一気に下るという趣で、ところどころに鎖と梯子、あっと言う間に千光寺、行者堂の裏手に戻る。なあんだ、さっきの鉄下駄のところから登っても逆コースを回れたんだ。

千光寺の山門前は、先ほどとはうって変わって、ハイカーでいっぱい。どこから来たのか、大阪側から鳴川峠を越えてか、それとも奈良側の近鉄元山上口から登ってきたのか。ここは、近鉄推奨ハイキングコースになっているので不思議ではない。近鉄が出している「てくてくまっぷ」シリーズにも入っている。でも、この地図には近くの清滝石仏群は詳しく書いているものの、行場については触れられていない。ハイキングにしては、危ないところもあるからか。
 山門前に千光寺周辺の絵図があり、これを見て、またしても行場めぐり踏破ならずということを認識。ちょっと下って谷筋から入るのが順路だったもよう。滝などは全部パスした形になってしまった。まあ、いいか。

賑やかだった中高年ハイカーの人たちも元山上口のほうに下山、急に静かになった。駐車場の向かいの小屋で野菜を売っていたおばあちゃんに、「よう、売れましたなあ」と声をかける。「朝とってきたんですねん。クスリも使うてへんし、取りたてやし。車できやはったん。そのエンジ色の車かね」

20人あまりの団体、一人が買ったら次から次へと。三度豆一袋100円、山芋200円、おばあちゃんがやって来て、ビニール袋に詰めだしてから、完売まで15分ぐらいのもの。一部始終を眺めていた私。JAに納めるよりもいい値段だろうし、朝の収穫はともかく、販売の効率の良さ、いい小遣い稼ぎであることは間違いない。こちらの車、地元の奈良ナンバーまでチェックしているところも、ただ者ではない。まあ、ともかく、おばあちゃん、"Good deal !"

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