雪彦山 ~ 雨男ならぬ雪男
2007/2/11

休日、カミサンが仕事で車を使うことが多く、最近は山登りの足はもっぱら電車とバス。珍しく、この日は電車で外出するというので、山登りの行き先を変更、車でないと不便なところに出かけることにする。この暖冬のおかげで、普段の2月なら足まわりが心配なところだが、天気はすっきりしないももの、この気温なら不安なし。目的地は播州の岩峰、雪彦山(せっぴこさん)。

6時に家を出て8時半には登山口に到着。時候のいいときにはゴルフ族の車で渋滞する中国自動車道もスイスイ、早朝のこととて第二阪奈にも阪神高速にも乗らず節約したのに、快調なペースだ。人気のある山にしても、この季節のこと、駐車場に一番乗り。有料500円とあるが、誰に払うのかもわからず、オフシーズンは無料ということだろうと、好意的に解釈。

天気予報だと晴れとなっていたのに、たいがいの雨男、登り出したら雨が落ちはじめ、見る間に白いものに変わる。これも毎度のこと。岩山だけに、登山道に雪がかぶると滑りやすくなり、ちょっと危険な状態。「ここはハイキングコースではありません。登山靴を履かないで登ってはいけません」なんて看板がコース案内図のそばに出ているのも宜なるかな。

小一時間登ると出雲岩、これは圧巻、巨大なオーバーハング、折からの雪もこの下だと関係ない。地面というか足下の石や土もカラカラに乾いている。見上げるとボルトやハーケン、固定ザイルなどがぶら下がっていたりする。格好のロッククライミングのゲレンデということだろう。難易度も相当なものと見た。自身はそんな危険なことはしないけど。

リュックサックをはずし手に持たないと通れないセリ岩の隙間を抜け、馬の背、天狗岩などのポイントを通過、大天井岳(838m)に至る。ここが雪彦山の頂上。
 大天井岳の頂上には、地元夢前(ゆめさき)町が立てた看板があり、ご丁寧な説明がある。

雪彦山は、洞ケ岳(ほらがだけ)、鉾立山(ほこたてやま)、三辻山(みつじやま)を総称したものであり、一般的に洞ケ岳を雪彦山と呼んでいます。洞ケ岳はさらに大天井岳(おおてんじょうだけ)、不行岳(ゆかずだけ)、三峰岳(さんぽうだけ)、地蔵岳の四つに分かれている。国土地理院地形図記載の三角点名の雪彦山とあたかもふたつあるようですが、三山の総称が雪彦山です。、

雪の着いた岩場の道を引き返す気にもなれず、三角点雪彦山(915m)方面に向かう。登山道の随所にある道標も"三角点"雪彦山。よほど国土地理院の山名表示が気に入らないのだろう。
 地形図製作の際には、地元の自治体の報告や現地調査を元に地名の同定を行うはずだが、山間部の場合はときどき間違いが起きる。ひとたびお上の書類に固定されてしまうと、それが一人歩きしてしまうことの典型だろう。
 民間の地図が準拠するのが全国レベルの測量に基づく国土地理院の地形図だから、間違いの再生産に繋がることになる。まあ、現地に行って山容を眺めて見れば、雪彦山の名に値するのは、大天井岳を中心とする岩峰群であることは一目瞭然なのに。ちなみに、谷を挟んで対峙する尾根の中腹にある賀野神社、ここからの雪彦山の眺めは見事、ここに社殿を設けた理由がよく判る。

三角点雪彦山を越えた鞍部から谷筋を下山する。滑滝や小振りだが綺麗な滝がいくつも続く。登山道の真ん中に鹿の死骸があったにはびっくりした。まだ新しいもので、この時期なので異臭はないが、撃たれたものなのか、熊の仕業か。それは、登山口に近いところの妙な形のダムの上流。このダム、太い鉄の格子だけで、水を堰き止めるでもない。水や砂はは流して巨石を食い止めるためのものという。
 登山口あたりはキャンプ場になっていて、平成3年に開催された「第一回日本三彦山サミット記念植樹」なるものが、三本並んでいる。第二回目以降が開催されたかどうか知らないが、きっと、あとの二つ、新潟県(弥彦山)と福岡県(英彦山)でも持ち回りしたに違いない。

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