地下鉄で山登り ~ 大文字山
2007/5/19

一週間前、このコースを辿って山科から大文字山を越え北山のコンサートホールまで歩き、夕方からアルプス交響曲を聴くというプランを立てたものの、結局取りやめ。そして、ハイキングのみを実行に移す。

朝から出かけて昼過ぎには戻る段取り。15時からスカパーで首位復帰となる読売戦を観なくては。乗り換えの京都駅で中日スポーツを購入。わずか100円で、読むところが多い。大阪では入手困難なのに、京都ならタイガースだらけの4紙と並んで堂々とスタンドのポストに突っ込まれている。大阪から電車で30分、エスカレーターでも左に立つことが多い京都は異文化圏。

JR・京阪電車・京都地下鉄が集まる山科駅から歩き出す。天候は今ひとつすっきりしないけど、日差しもあって、日焼け止めを塗る。毘沙門天への参道を北に向かい疎水を渡る。15分も歩けば山道の入口、毘沙門天にお参り。

林の中、沢筋の緩やかな登り道を辿る。この程度の勾配だと、体内の脂肪が燃え出すまでに時間がかかる。ウエストをすっきりさせようとすると、やはり一週間近い山ごもりが必要かな。まあ、平地を歩くよりは、ずっとマシだけど。

尾根筋への取り付きもさしたる急傾斜でもなく、のんびりとした散歩のような山歩き、歩き始めて1時間半ほどで、大文字山(466m)の三角点。突然、ここで西の視界が開ける。それも京都市街の全貌が一気に。いやあ、これはこれは。徳本峠からの穂高か、夜叉神峠の白根三山か、辿り着いた瞬間に向こう側が目に飛び込んで息を呑むという光景、それらに近いものがある。曇り空、盆地の向こう側、西山のほうでは雨が落ちている様子、そのうち、きっと、こちらも。

大文字山からの京都市街
大文字山からの京都市街の眺め (ダブルクリックすると拡大しスクロール、クリックでもとに戻る)

雨の降らないうちに、そそくさと下りにかかる。しばらくすると大文字の火床、こんな風になっているのか。要はコンクリートで造ったキャンプファイアーの火床という感じ、大きさも、ちょうどその程度。これが大の字の形にいくつも並んでいるという具合。それぞれの火床は石段で結ばれている。

頂上よりも、この火床からのほうが街はずっと近い。デジカメ写真を6枚連ねて合成してようやく京都市街の全容が収まる。南北に延びるグリーンベルトは賀茂川、平安神宮の鳥居や、京都タワー、宝ヶ池の会議所など、すぐにそれと判る建物が目に入る。私は大文字の送り火を観たことはないが、京都の街なかからよく見えるということは、逆も真なり、大展望が開けて当たり前ではある。

火床の石段を下ったところは大文字山の斜面が二段になった途中の平地、メインの道は南に向かっているようだが、そのまま西に進む。10mほどの隆起を越えると一直線の下降、下り立ったところは墓地、少し行くと見たことがある山門、そう、ここは法然院。ここからの登山道の標識はないから、火床で見かけた子供たちの団体はメインルートを登ってきたのだろう。

3年前、ルチアーノ・ベリオの「セクエンツァ全曲演奏」という変わった企画があり、知恩寺、知恩院、法然院と現代音楽のハシゴをして辿り着いたのが法然院の本堂だった。その時と逆コース、ここから哲学の道を辿って南に向かう。意外、天気がはっきりしないせいか、観光客の姿が少ない。GWには大変な喧噪だったろうに。

そして、終点は南禅寺。三門を眺め、ちょうど下校時か、東山中・高の生徒と一緒に地下鉄蹴上駅に向かう。疎水の隧道をくぐったところが地下鉄駅。昔は京阪京津線の路面電車が走っていたところ。それが今は深い地下の軌道になっている。

きれいな京都の地下鉄だが、古都には路面電車がよく似合う。地下鉄建設に投じる予算をLRTに回せば全く別の交通体系が出来るのではないだろうか。地上を走る車両から町並みを眺めて、ふらりと降り立つ、地図にも明示され、目に見える軌道なら、初めて訪れる人にも利用しやすい。複数の経営が混在し地元の人間しか利用できないような難解な市内バス路線を廃しLRTにリプレイスする。例えばウィーンのような街に変えることができるのではと考えるのだが…

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