張り替え、Before and After
2008/2/10

自宅マンションの大規模修繕が始まり、外壁には足場と覆い、なんだか工事現場に暮らす様相だ。10年経てば新築もあちこち綻びが見えてくる。電化製品にしても然り。年が明けて洗濯機の水漏り、これは仕方なく買い換え。そして、傷んだ食卓の椅子。さすがに、ここまで破れると、差布団で誤魔化すのもままならず。ついに何とかしようということに。

さて、どうしたものか。職場出入りのメーカーの営業に聞いてみたら、買い換えるほどの値段になるという。座面はボロボロでも木部はしっかりしているので惜しい。そこで、困ったときのネット頼み。あるある、「椅子張り替え専門」、早速コンタクト。

見積もりフォームに写真を添付して送ると返事が。一脚5000円+材料費、ところが運搬費が10000円。メールを受け取ったの日はたまたま休みだったので、すぐ電話、「今から持って行きますわ。よろしかな」と大阪市内に向け車を走らせる。

阪急十三駅の近く。このあたり、土地鑑はあるとは言え、狭くて一方通行の道が多く、人間カーナビがフル活動。ようやく目指す一角に家具修理専門店を発見。きっと、ここだ。

「さっき、椅子の張り替えで、電話さしてもろたんですけど」
「…」
「ここ、野中南2丁目でんな」
「せやけど、その番地やったら、うちとちゃいまっせ」
「あれっ、間違うたかな。この辺に修理やってるとこ、ありまへんか」
「…。知らんなあ」
仕方なく、その場で電話、斯く斯く云云。
「あっ、そこからでしたら、200mぐらい線路沿いに、角を曲がったら紫色の建物がありますから」
そんなに近くなのに、あの家具屋のおっちゃんは知らんとは。どういうこと。

ちょっと車を進ませると、横の路地から紫のパンツのお姉さんが顔を出し、「こっち、こっち」と手招き。その先には、ほんとに紫色の三階建の家。なんだか怪しい雰囲気。一階の車庫を兼ねた作業スペースでは、鳶ズボンを履いたアンちゃんが椅子の張り替え作業中。はあ、ここか。しかしまあ、家内工業もいいとこ。営業担当がイケイケ姉ちゃん風の奥さんで、旦那が職人、例のアンちゃんが見習いという感じ。見積もりをもらっていなかったら、ちょっと引いてしまう雰囲気。

ON・DEMAND(オン・デマンド)というのが店名らしいが、そんな看板がある様子もない。ネット専門の商売なんだろうか。サンプルを眺めて生地を指定。張り替えが済んだら連絡をくれるとのこと。そして電話があったのが三日後、ちょうど三連休なので、早速引き取りに。ほほっ、新品同様、きれいに仕上がっている。あのボロ椅子が立派になったもんだ。捨てなくてよかった、よかった。 エコだとか、リサイクルだとか、経済総体で見たらGDPの抑制効果でしかないが、日本人の体に染みついた価値観は、節約は美徳。とか何とか、これで懸案のダイニングもすっきり。

「きれいに出来てるやないの。おたくはネット専門でやったはるの」
「ネット以外の注文も受けてますよ」
「そう。だいぶ節約できたし、ほかに宣伝しときまっさ」
「ええ、よろしくお願いします」

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