雨と競争 ~ 笹間ヶ岳
2008/12/21

天気予報は午後から雨、その割には午前中は日差しが漏れて、なんだか夕方まで持ちそう。自分の勘を信じて、昼前から車を走らせる。裏道伝いで意外に近いということが判った湖南の山へ。
 生駒をかすめて京田辺へ山越え、そこから城陽、宇治田原を抜けたら、もう大津市に入る。市内とは言っても山のなか。瀬田川から分かれる信楽川に沿って国道422号を辿ると、ほどなく大石という集落。そこから笹間ヶ岳に登ろうという算段。

付替工事中の国道から旧道に入ったところの春日神社の脇に車を置く。鎌倉後期の本殿が重要文化財という説明書きがあり、宝物庫のようなものまであるが、まったく人の気配はない。まあ、このあたりじゃ需要文化財なんて、ちっとも珍しくないけど。

谷沿いの林道があって、もっと先まで車で行けそうな感じだが、入口には車止めがあり一般の通行はできない。北北西にまっすぐ登る山道が25000分の1の地図に記載されているものの、そんなに人が入る山ではないから、あてにはならない。案の定、何度かそちら方面に行こうと試みるが登山道らしきものはなく、車道の先には立入禁止の標識があったりして断念。何度か引き返して、結局は遠回りになるが北東方向の林道を辿る。奥に行くほど傾斜は緩やかになり、上りから下りに転じたのではないかと錯覚するほど。なかなか笹間ヶ岳への道が分かれる大谷河原に着かない。途中の行きつ戻りつのタイムロスのせいもあるだろう。

ようやく、広い河原に出る。堰堤で土砂が堆積した結果かと思われる。私の行く先を右から左に横切る登山者の姿が見える。こんな天気に酔狂な人と、自分もその一人なのに感心してしまう。笹間ヶ岳に向かったようだから、山頂で遭遇するに違いない。
 この一帯、マツタケ山のようで、車道の進入禁止や、不明瞭な登山ルートは、そのせいもあるだろう。山歩きの好適シーズンが収穫期に重なるので、登山道も踏まれることが少なくなるという循環に。

西に方向を転じて、笹間ヶ岳の頂上に向かう。ところどころで林道に出会い、そっちに行ってしまいそうになるが、尾根筋を辿るのが正解。花崗岩の露岩が目立つ稜線には細かなアップダウンがあって、連続するピークの西端である山頂は遠い。

これじゃ雨が降り出してきそうと心配になる頃に、巨大な岩塊の笹間ヶ岳のピークに出る。鎖を伝って岩の上に出たら、やはり先客。大谷河原で姿を認めた一人の登山者。30代ぐらいの人。

 「こんにちは」と挨拶すると、「何とか天気が持ちましたね」と先方。少しぱらついては来た。
 「どちらから登られたんですか」と尋ねる。
 「田上のほうからです」と、どうも北側、私と反対側からのよう。
 「私は大石のほうからです」

ちょっと霞んでいるが、眼下の大津市街と琵琶湖を見おろし、岩の上でお弁当。西に向かっては急に落ち込んで峰筋には露岩が白く点在する。このあたりの山、湖南アルプスという愛称があるが、あながち不当表示でもなさそう。もっとも、標高は日本アルプスとは雲泥の差があるが。

「よくあっちの堂山には登るんですけど、笹間ヶ岳は久しぶりです」と言うからには地元の人のよう。
 「あの、向かい側の山ですね。岩が多そうですね」
 「低いんですけど、けっこう上り甲斐があって面白いですよ」

そちらに目を転じると、笹間ヶ岳と同じく、小さなピークが連続していて、あちこちに岩がむき出しになっている。おっ、その左奥の方向には、この前登った近江富士がぼんやりと見えているではないか。そうか、堂山、地元の人が言うんだったら間違いなかろう。次回はあちらの山に。

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