もったいない、もったいない
2008/12/30

1000枚以上もあるCDを家で聴かなくなって久しい。最近は買うこと自体なくなったし、聴くのは専ら車の中、そもそもテレビと同じ場所にあっては仕方のないこと。

「とうちゃん、この機械、動けへんねんけど、故障ちゃうかな」と、家人に言われて初めて不調を知る始末。確かに、以前から読み取り不良のことがあって、そのときはクリーナーでピックアップを掃除したら何とかなったんだが、もう寿命なんだろうか。10年ほど経つとは言え、このリビングのプレイヤーはそんなに使っていないのに。超は付かないけど、どちらかと言えば高級機の端くれ、BOSEのWest Boroughだ。

自宅マンションと同様、10年経過するとあちこちに傷みが目立ってくる。共用部の大規模修繕は済んだばかりだが、自宅部分の設備も交換が相次ぎ、電化製品も買い換え続き。時限爆弾を仕込んでいるのではないかとの疑いが湧いてくるほど。BOSEよ、お前もか。

心斎橋そごうのショップに持ち込んだら、数日後、BOSEの修理センターから電話。
「お預かりした PLS-1210でございますが、光学系の経年劣化による不良なのですが、残念ながらもう部品がございませんので、修理不能ということで、送料当方持ちで宅配便にて返送させていただきますが、よろしいでしょうか」
 修理見積り金額の連絡だとばかり思っていたら、何ということ。「よろしいでしょうか」と言ったって…

「はても面妖な!いかが申すことでござろう!最早使ゑぬと云ふこと!其れは、如何ほどにも」とか何とか。呆れてしまって、電話の向こうのおねえさんに怒る気にもなれない。
 「拙者が購いもうしたのは、十年ほど前なれど、夙に部品保存期限が切れておるとのことか、お主」
 「まことに申し訳ございません」

パソコンなら、解体して、ジャンクのパーツを調達して、自分で何とかできそうなんだが、オーディオとなると不得意分野。ともあれ、処分も視野にオークションでジャンク情報を探す。

やはり、あるもんだ。どうやら再生品を売りに出している人がいる。しかも、「修理も承ります」とある。ものは試し、さっそく質問すると、「CD読取り不良なら修理可能」とのこと。16000円が高いか安いか、何とも言えないが、3か月の動作保証をすると言うぐらいなので、BOSEの梱包のまま宅配便を転送。この機種のピックアップはフィリップス製で、既に新品入手は不可能の由、中古良品との交換になるらしい。多く出回っている製品の場合はジャンクの部品を集めて再生品を作る商売が成り立つということか。

一週間もしないうちに、完動品として戻って来たのには感動もの。「CDピックアップ交換、トレイ駆動ベルト交換、回転系摩擦部分のグリスアップ、基板コネクターの洗浄、本体内部及びCD部のカーボン(すす)、ほこりの除去、フロント/リア/サイドパネルの外装清掃をさせていただきました」という丁寧な報告。

BOSEの窓口では、「こちらで廃棄させていただいてもよろしいのですが」なんて、とんでもないことを言っていたのに、見事に生き返ったではないか。でも、これは何かヘンだぞ。旧製品にいつまでも引きずられたくないメーカーの論理もわかるけど、名機というものであれば、それなりのアフターサービスがあってもと思う。かくして、セミプロ化したマニアがメーカーのサービスの隙間を埋めるのだ。

CDアンプの次は、プリンターだ。キャノンの古いインクジェットプリンターBJC-440J。

ほとんど年に一度しか使わないカラー印刷、年賀状の大量印刷でカートリッジ一本がほぼなくなる。それで、事前に家電量販店で購入しようと出かけたところ、どの店にも「ない」!
 ありゃりゃ、これはBOSEと同じ、旧機種用のカートリッジの生産終了ということだなと合点。ならば、さっそくオークション。ある、ある。「賞味期限れ」じゃなかった「装着期限切れ」のカートリッジを格安で出品している人がいる。数量2個で即入札、これで古くても何の問題もないプリンターが、あと2年は延命できるぞ。もっとも、期限切れ製品だけに、印刷できるかどうかは自己責任だけど。

ハイテク(プリンター)を薄利で売って、ローテク(インクカートリッジ)でがっぽり稼ぐというキャノンのビジネスモデル、ならば、カートリッジぐらい供給し続けたらいいのにと思うが、製品も新しいものにシフトしているのだろう。私みたいな、この機能で充分ということで古いマシンを使い倒すユーザーは時代遅れということか。いやいや、そんなことはない。エコの時代というなら、こちらが正統派ではないかと…

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