混雑回避、お盆の山登り ~ 行者還岳
2009/8/16

世間のお盆休みは大体この日曜まで、Uターンラッシュの日に車で出かけるには行き先を考えないと山登りどころではない。1000円の日だけど、ここは高速道路を使わない県内の山に。早起きは三文の得とばかりに5時のスタート、前回の失敗を踏まえ自宅近くの24Hセルフスタンドで給油、8時前には行者還トンネル西口に着いた。みたらい渓谷の川遊びの車が来ない間に通過しないと、対向困難な国道はにっちもさっちもいかなくなる。

ここは二度目である。同様の目論見の人もいてトンネル入口の路肩スペースには20台ほどの車が並んでいる。さすがにこの時間なので奈良ナンバーがほとんど。でもほとんどの登山者は弥山方面に向かうはず。そちらは前に登っているので、私は反対方向の行者還岳(1546m)を目指す。

東にショートカットして奥駈道に出るルートがあるはずだが見あたらず。利用者が少ないだろうから、きっと踏跡程度なんだろう。戻りに使えばいいやと、ちょっと遠回りになるが、しっかり踏まれた南への登山道を辿る。奥駈道との出合まで1時間ほど。ここから東は通行量の少ないルートになる。このあたりの奥駈道は樹木は疎らで背の低い笹原を抜けていく明るい道だ。かんかん照りだとたまらないが、折良く曇りがち、何とも爽やか、快適な縦走である。トリカブトにとまる赤とんぼの姿に秋の気配もにじむ。

目指す行者還岳の姿はなかなか望めないが、反対側の大きな山容の弥山と、その左にちょこんと飛び出た八経ケ岳のピークはずっと視界に入る。そりゃああちらのほうが目を引くし、日本百名山で近畿最高峰とくれば登山者の数は天地ほどの違いとなる。

何度も小さなアップダウンを繰り返してたどり着いたのは行者還小屋、無人、最近建て直したのか、ずいぶん立派な小屋だ。20人ぐらいは泊まれそう。ここまでの行程の一の垰にあった雨露を凌げるかどうかも怪しいボロボロの避難小屋とは大違い。この行者還小屋の裏手が行者還岳でほんの一投足の距離。ただ南面は切り立った岩場になっているので、奥駈道は迂回する。山頂の北東側の肩に達し、頂上へは折り返すようなルートである。

奥駈道出合からここまで、すれ違う登山者は一人もいない。あまり視界のない山頂でのんびりしていたら、ようやくカメラだけ携えた青年が登ってきた。きっと奥駈道との分岐に荷物を置き山頂を踏むために往復したんだろう。泊まりがけの縦走かも。

世界遺産になって、奥駈という縦走をする人も増えているのだろうか。吉野から前鬼までの山登り的な核心部で3泊4日、信仰の道ということで熊野までの全行程を辿るとその倍はいく。それだけの日数をかけるなら中部山岳に足が向くから、地元のくせに私は日帰りマイカー登山ばかり。それでも、山上ケ岳、大普賢岳、弥山、八経ケ岳、釈迦ヶ岳、笠捨山、玉置山とおもだったところには行ったかなあ。いつかは繋いで歩いてみたいものと、木の間越しに見える大普賢岳の鋭鋒群を眺めながら思うが、なかなか実現しそうもない。

戻りのルートは予定通りトンネル西口まで一直線に降りる。奥駈道からの分岐ははっきりしているが、下るにつれて傾斜は増し踏跡は不明瞭になる。東西方向の枝尾根にはテープが巻かれているのでルートを失うことはないが、慎重に進む。山頂から折り返す頃に感じた右膝の痛みがだんだん強くなる。歳のせいか、運動不足のせいか。15分毎に休み休みでゆっくり下って到着は1時半。休憩も含め、5時間半を要したことになる。まあ、平均的なところか。

帰路はトンネルを抜けて東側の上北山村に降りる。国道169号までの距離はあるが、川迫川沿いの隘路でのダンゴ状態は避けられる。169号に出たらこちらのもの。山奥なのに昔と違って70km/hでの走行が可能な道になっているし、渋滞の可能性がある下市あたりは通らず、新鹿路トンネルを経て桜井に抜ける。一日車を占有したものだから、夕食の材料の買いにスーパーに立ち寄っても5時には帰宅。みごと目論見どおり、渋滞なしのお盆登山。

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