大阪から、新大阪まで ~ 160円、雪見ツアー
2010/1/9

三連休、成人の日の外での仕事に必要な資料の持ち帰りを忘れたので、朝から事務所に立ち寄る。どうせ大阪まで出るのだから、一度やってみようと思って果たせていない格安ツアーを敢行してみることにした。前にNHKの番組でも紹介されたことのあるテッちゃん旅、大都市近郊区間の大回り乗車。新年にかけての寒波もあったので、ここは雪見がてらにという発想だ。
 最近ではかなり知られるようになったこの格安日帰り旅行、基本ルールは次のとおり(JR西日本「おでかけネット」から引用)。


■大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例

●下図のそれぞれの大都市近郊区間内のみを普通乗車券または回数乗車券でご利用になる場合は、実際にご乗車になる経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車することができます。
●重複しない限り乗車経路は自由に選べますが、途中下車はできません。途中で下車される場合は、実際に乗車された区間の運賃と比較して不足している場合はその差額をいただきます。

対象となるのが全国で4地域、東京、大阪の近郊(といっても、ずいぶん広域)の他に、新潟、福岡が対象というのも不思議な制度だ。カネとヒマと体力があればどんな旅行も可能だが、そのうちカネに事欠く場合にも可能な旅行がこれ。その気になれば、京阪神地区なら1日で2府5県を120円(大阪地区のみの初乗り最低料金)で回ることもできる。

今回の私のテーマは雪見なので、このエリアでは近江塩津を北端とする琵琶湖周遊コースとなる。大阪、奈良、三重、滋賀、京都を回る。和歌山と兵庫は別の機会にやってみよう。

定期券を使って大阪駅で下車、新大阪までの160円区間の乗車券を購入して、その切符で再入場、そして新大阪とはあさっての方向、大阪環状線経由の大和路線の快速に乗車、もちろん先頭車両の最前部だ。快晴、ダイヤの乱れもなく快調に奈良を目指す。遷都1300年に合わせてJR奈良駅は改装中、ホームこそ高架になったが、まだ工事中というのが奈良の悠長さ、春の観光シーズンに間に合えばという感覚なんだろう。ここで後部2両を切り離して、その先の電化区間が終わる加茂が終点。到着したホームの向かい側には関西線の亀山行ディーゼルカー2両編成が待っている。

北の近江塩津に向かうのに、南側の関西線からスタートしたのには訳がある。琵琶湖周遊には草津線(柘植~草津)利用が必須だが、柘植で乗り換えとなる関西線は冬の第二土曜に亀山~加茂間が午後運休となるからだ。それで、この午前の最終列車に乗らないと始まらない。

ディーゼルカーになった途端にローカル線ムードが横溢、木津川沿いの単線をトロトロと走っていく。だいたい保守工事で半日列車を止め、バス代替輸送なしで支障ないということからしてローカル線そのもの。快速電車では見かけなかったテツとおぼしき人が何人も乗っている。笠置あたりでは下の部分もガラス窓になったドアにへばりついてカヌーの名所の淵を見下ろしている。あれは風景テツだな。別の席では時刻表を鞄から取り出して見ているダイヤテツもいる。それで、私は持参した20万分の1の地図を広げて、地形とルートの確認。地図テツに変身。同じ乗りテツでも、流派はさまざま。

柘植駅の乗換待ち時間は30分近くあり、今回のツアーでは最大。その時間を利用して駅のトイレに。大回り乗車のお約束で、着駅まで改札口の外に出てはならぬというのが第1条である。年末に登った鈴鹿山脈の南端、油日岳をホームから眺める。ここは標高243mという標識が立っている。こんなものがあるということは、たぶん関西線の駅では最高地点なんだろう。到着した折り返し草津行の車内で持参したサンドイッチのお弁当。

ここからは電車である。伊賀から甲賀へ、緩やかな下りでトンネルもなく峠越えのイメージはない。20万分の1の地図があると長い列車旅も飽きない。今回持参したのは、行程が含まれる「京都及び大阪」、「和歌山」、「名古屋」、「岐阜」の4葉、30年以上前のものだから、JR湖西線はなく、その前身の近若鉄道が記載されており、近江今津が終点だ。新しいのも買わなくちゃ。

草津では短い乗換時間で近江塩津行に乗車、ここにもテツがいるいる。何と貨物時刻表を広げている若者、座り心地の悪い最前部の折りたたみ式補助席に陣取る家族連れ、列車通過待ちの時間になるとホームに降りて特急列車にカメラを向ける撮りテツ、そんなテッちゃん満載で湖東を北に向かう。

彦根を過ぎるあたりから白一色の世界だ。青森ならぬ米原駅は雪の中。意外にもその北の長浜になると積雪は少なめ。そして余呉湖の畔を過ぎて山間部に入ると上越線か大糸線かと見まごうような景色になる。そこに130km/hで走行する新快速が入線してくるのはちょっと不思議な光景だ。湖西線への乗換が5分しかないのは残念、もう少し雪のホームにいたい気もするが、寒さを思えばこれでいいのかも。

近江塩津で湖西線に乗り継ぐ人がいっぱい。これは半分以上がテツだ。ということは大回り乗車で雪見という人間がかくも多数ということか。中高年が多いが、若者も混じっている。男ばかりか女性も多い。テッちゃん、テツ爺は単独行動で概して寡黙、一方の鉄子、なかでもテツ婆は友だち連れでボックス席に収まりおしゃべりテツの様相。そりゃあ、喫茶店で粘るよりも楽しめるはず。JR西日本にしてみれば、目先の収益だけならありがたい客ではないかも。戻りは一直線に新大阪へ。

今回乗車した列車は、走行区間が長くて、接続のよいものばかりなので、待ち時間と乗換の繰り返しというローカル線の旅とは趣きが違う。同じような鉄道回遊をスイスでしたことがあるが、列車の遅れで往生した覚えがある。最近は人身事故の影響でのダイヤの乱れが珍しくなくなったものの、JRの定時運行は素晴らしいものだ。運送約款には全く抵触しない利用方法とはいえ、乗車距離は334.7kmに及び、特例運賃の適用を受けないとすると5460円になるはずの行程(下記)、ちょっと申し訳ない気もする。その分、仕事で新幹線や特急を利用させてもらいますので、ご容赦を。

大阪 9:03発 ~ 大和路快速・加茂行 ~ 加茂 10:08着
 加茂 10:10発 ~ 普通・亀山行 ~ 柘植 11:06着
 柘植 11:31発 ~ 普通・草津行 ~ 草津~ 12:15着
 草津 12:19発 ~ 新快速・近江塩津行 ~ 近江塩津 13:35着
 近江塩津 13:40発 ~ 新快速・網干行 ~ 新大阪 15:23着

これだけスムースな乗り継ぎだと、柘植駅の乗換を除けば煙草を吸うタイミングがないということ。それで新大阪で下車して外に出てみる。改札口を通るときにはちょっとドキドキしたが、隣の大阪駅から6時間半かかって到着したにもかかわらず、何の問題もなく自動改札のゲートが開く。ただ、「ありがとうございました」のディスプレイ表示はちょっと面映ゆい。

正面口と地下鉄御堂筋線乗換口しか利用することがないので、新大阪駅に東口があるのを知らなかった。それでちょっと探検。な、何だ、これは。出口にいきなりダイコンやミカンが路上に並んでいるではないか。その先はちょっとした広場になっていて、古着などを並べたフリーマーケット、まるで焼跡闇市の風情だ。新幹線が発着する大阪の玄関口、いやこれぞ大阪ということかも。路上喫煙、ノープロブレム。

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