梅雨の晴れ間に赤目四十八滝
2010/7/10

梅雨明けはまだだが、雨が降らなければ暑いのは7月だし当然、近場の山登りで汗だくというのも嫌だしとなると、水のそばということになる。カミサンに「赤目四十八滝に行ってみようか。この前に買ったハイキングシューズの足慣らしもかねて」と誘う。
 三重県名張市、奈良県との境に近く、隣は奈良県宇陀郡室生村だが今は合併して宇陀市、そこは私の生まれ故郷なのに、赤目四十八滝に行った記憶がない。それじゃ、涼を求めて散策するのも一興。梅雨時で水量が多いはずだから、ベストシーズンかも。

カミサンは義父とまだ小さかった長男を連れて来たことがあるそうだ、そのときのお目当ては日本サンショウウオセンターだったようで、しばらく息子の部屋にはサンショウウオのフィギュアがあった。そこが赤目四十八滝の入口である。売店のおっちゃんが、観光客相手に講釈を垂れているのが耳に入る。

「昔はすぐ近くの不動滝までしか行かれんかった。役行者さんが拓いて、そこにみんなお参りして帰ったんや。奥まで行けるようになったのは最近でっせ。一番奥の滝まで行ったら往復3時間、一番いいところまでで往復するんやったら2時間、頑張って歩きなはれ」

日本サンショウウオセンターを抜けて沢筋の遊歩道に入る。センターの入場料なのか、滝の入場料なのかよく判らないところもあるが、一人300円。と、前に怪しい人たち、忍者装束のおねえさん、これは伊賀のくのいちか。いや、どうもテレビのクルーのようだ。赤目四十八滝を紹介する番組でも制作するのかな。すると女忍者はレポーターということに。案の定、不動滝では何やら撮影のもよう。「うわあー、パワースポットが…」どうとかことうか喋っている。

それを横目で見ながら奥へ進む。そんなに人出があるわけでもないが、本格的な登山靴の人から、サンダル履きの人まで、若いカップルあり、子連れあり、お年寄りの団体ありと種々雑多である。まあ、深山幽谷というほどでもないし、かといって雑踏のなかということでもない。
 「赤目四十八瀧心中未遂」という小説があるのを知っているが読んだことはない。未遂というのは、大阪市内からここまで近鉄電車で来て、賑わう車内で1時間過ごすうちに死ぬ気が失せたということのよう。二人の世界が維持できる車ならいざ知らず、私鉄郊外電車は死出の旅には似合わない。

人がたくさん来るので、ハイキングコースはしっかり整備されている。連続する滝を観ながら散策出来るように、右岸に左岸に、川身に沿って、あるときは高捲きに歩道が作られている。奥に分け入るのは昔は行者だけだったので、名前も彼らが付けたのだろうか。四十八滝とは言葉の綾だから正確にいくつ滝があるのかは判らない。しかし、急峻な山が迫っているわけでもなく、人里にも近いところに、これほど多数の滝があること自体が特異ではある。

梅雨の晴れ間は滝だけならベスト、水が多くなければ始まらない。とは言え、ここのハイシーズンは、やはり錦秋ということになるのだろう。

荷担滝(にないたき)という三段に二流に分かれた滝が、赤目のシンボルらしい。確かに形といい規模といいその資格はある。ここまで入口からゆっくり辿って1時間と少し。その先、なお20分ほどの巌窟滝というのが、最後の滝になる。ここからは普通の山道となって、しばらく行くと県道に出会うはず。
 はじめ、車でこの県道を辿り、赤目峡谷(滝川)に出会うポイントに車を駐め下り・上りで往復することも考えた。一人なら間違いなくそうしていたが、今回は一般コース。裏から入ればお金はかからないというのは三輪山でも談山神社でもあった。きっとここもそれと同じこと。スタート地点の路肩に駐めたら駐車料金も要らない。まあ、そんな変な人はは多くはないかも。

帰路、165号線沿いに見つけた野菜販売所に立ち寄るのはいつものパターン、半ばそれが目的とも言える。そして、名阪国道小倉インターに至る道、建前は農道、実は室生寺観光用のバイパス経由でスイスイと。このあたり、スズラン南限の地ということを思い出したが、もう花の時期は終わっている。そこには来年かな。

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