生石高原ススキ探訪+α+β
2010/11/3

ススキの季節になった。近畿地方のススキの名所はいくつかあって、奈良の自宅から比較的近いところでは曽爾高原、岩湧山あたり。そこは何度か行っているので、今回はちょっと足を伸ばすことにした。兵庫県の砥峰高原、和歌山県の生石高原あたりが候補だが、車の渋滞のおそれがなく、無料の高速道路でアクセスできる後者に決めた。歩く距離はわずか、午前中に散策も終えて、ちょっと寄り道をという企て。

京奈和道、南阪奈道の無料区間を乗り継いで高野口インターに至る。この方面はずいぶんと近くなった。いっそこのまま全通させずにずっと無料で供用してくれたほうがありがたい。高野口インターの先も和歌山方面へ広域農道が延びているから、今だって快適ドライブなのだ。

国道424号を経て山に入る。名にし負う酷道425号と比べれば全く問題なし。自宅から約3時間で生石高原山荘の駐車場に車を置く。早朝に出発したせいか、まだ登ってきている車の数は少ない。文化の日は晴天の特異日だから、お昼近くともなれば満杯は確実だろう。

山荘の裏手、ちょっと登ればそこが笠石だ。カヤトの原に巨岩がひとつ。よじ登って遊ぶ。谷からの上昇気流が顕著なのだろう。模型のグライダーを飛ばしに来ている人の姿もある。近くにはパラセールのゲレンデもあるようだ。空を舞う色とりどりのパラシュートも帰路に見かけたし。

もう少し遅い時期がよいのかも知れない。まだ根もとは緑の色が濃いが、それでも見頃であることに違いない。笠石から東へ20分ほどで達する生石ヶ峰(おいしがみね、870m)までの稜線は一面のススキ。気温は少し低めだが散策には心地よい。のんびりゆっくりの山歩きだ。頂上でくつろぐこと小一時間、時間はたっぷりある。まさに360°の大展望だ。遠く西には淡路島、和歌浦から海南の町、紀ノ川の向こうの和泉山脈、それが北側の展望。南に目を転ずると、こちらは山また山の連なり。奥高野の幾重にも重なる稜線は山名同定さえ困難なほど。ここに一等三角点を置く理由がとてもよく判る。

サンドイッチを頬張りながら、あっちにこっちにと目を向けていると時の経つのを忘れてしまう。ごろんと昼寝もよいくらいだ。和歌山県は山ばかり。海のそばと紀ノ川沿いだけがわずかな平地というのが一目瞭然。こんなところを平安の人々が熊野目指して辿っていったのが不思議な気がする。娯楽も少ない時代だったろうが、気晴らしというには洛南の伏見港からは結構な行程である。後白河上皇に至っては33回も往復したというから、そうとう体力があったんだろう。

とまあ、いにしえに思いを馳せる私は、奈良からここまで車を飛ばして日帰りだ。しかも、午前中には山を下りて帰路の寄り道となる。向かうはテッちゃんの名所、和歌山電鐵貴志川線の終点の貴志駅。言わずと知れた"たま駅長"の本拠地だ。カーナビに目的地をセットしたものの、急角度に折れ曲がる狭い道を案内されて半信半疑、と、ぽっかり出たのが駅舎からして猫の貴志駅前の小さな広場。

いるいる、電車目当てだか猫目当てだかよく判らない人たちがいっぱい。駅自体が建て替わっているのだろう。ショップもあれば喫茶店もある。オマケに"たまミュージアム"まで。 それで、駅長はといえば、まあ立派な駅長室、ガラス張りの部屋で悠然と寝ころがっている。アイドルとしてもてはやされてか、かなり太めである。終身雇用、年俸はキャットフード1年分、これぞ三毛猫サクセスストーリー、地域活性化にも寄与したのだから大したものである。

駅舎をウロウロしていると、表の広場にミニパト襲来だ。「駅前に駐車中のデミオ、ここは駐車禁止です。すぐに移動してください」とアナウンス、すわ一大事、こんなところで反則切符を切られてはならじ、「はーい、私です。すぐに動かします」と退散。もう5分もしたら和歌山からの電車が到着し折り返すところだったのに。

それで諦めるようではテツの川上にも置けぬ。隣の甘露寺前駅に移動、無人駅の前の道は狭くても田舎のこと、空き地はいっぱいある。ここで、折り返しで到着する電車を待つ。なんとまあ、これは玉電、いや"たま電車"だ。とことん猫で増収を図ろうという涙ぐましい努力だ。しかし、猫の寿命なんて十数年、たまが鬼籍に入ったらどうするのだろうと余計な心配。

もうひとつの寄り道は粉河寺、西国三十三箇所第三番の札所だ。有名な寺なので参拝者は多い。思いのほか立派な本堂だし山門である。駐車料金は必要だが、京都あたりの寺と違って境内参拝にお金を取ったりしない。門前ではこの季節のこととて柿が並んでいるが、奈良に住んでいると柿など珍しくも何ともないので素通り。

近くに華岡青洲生誕の地があって、そこにも寄ろうかと思ったが、広域農道を快走しているうちに見落としてしまった。橿原まで戻り、まだ時間がありそうなので、バイパス沿いの極楽湯で汗を流す。日本シリーズ第4戦の間に合うように帰宅したが、そこからの試合が5時間近い延長戦、終盤はあわやサヨナラ負けかという心臓に悪い場面の連続、日中の往復200kmより、こっちのほうがよほど疲れた。

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