1300年の終わりに西荻ツアー
2010/12/29

地元の遷都1300年祭のイベントにはついぞ行かなかったら、もう年の瀬である。春・秋の観光シーズンに奈良が賑わうのはいつものことだが、さすがに今年はちょっと多かった。それも終わり、住民にとっては散策するならこれからだ。今回の場所は奈良ではなく東京、「せんとくん」で広く名を知られるようになった籔内佐斗司の童子めぐりをしようと中央線に乗る。

年越し寒波の襲来が予報されているが、この日はまだ穏やかだ。中野からは各駅停車の快速で西荻窪駅に降り立つ。南口の花壇に一体目の「花の童子」がある。ブリュッセルの「小便小僧」よろしく、ときどきの衣替えらしい。この日は象の背中でレイにくるまれている。

駅には散策マップが置かれているので、この地図を見ながら一時間ほどの回遊コース。駅の南東の児童公園に二体目、「おすもう童子」。これはなかなか可愛い。ころころと太った童子らしいところと、土俵に手をつく姿にはそれなりの力感がある。

ここからは方向を転じて、中央線の高架をくぐり北に向かう。善福寺川の橋を渡りしばらく行くと青梅街道。通りの向う側に区民センターがあり、そこに三体目の「上向き童子」がある。センターの周りをぐ るっと回って探すのに苦労したが、何のことはない、青梅街道沿いの入口の脇だ。「おすもう童子」が二体だから、これは四体目から七体目ということになる。ぼてっとしたお腹と、顔も上向きなら、あらら、大事なところも…

今度は西に針路をとる。このあたり、下町でもなく山手でもない、しばらく住んでいた幡ヶ谷あたりと雰囲気が似ている。荻窪中学校のところに「縁結び童子」がいる。後ろに回ると背中から腰の線が何ともキュートだ。

そこから次の「大朝露童子」は近い。狭い道を南に入ってすぐの細長い「井荻公園」の中だ。大きな蓮の葉から滴る露を呑むという格好なので、覗き込まないと表情がわからない。

この童子たちがお目見えしたのは一年ぐらい前のことのよう。鶏の糞がかかったりはしているが、そんなに傷んでもいない。今の値段なら一体100万円はくだらないブロンズ像がオープンスペースに無造作に置かれている。いちおうしっかり固定されているので持ち帰りということはなさそう。杉並区が購入したんだろうか。設置場所がいずれも区の管轄のようだから、きっとそういうことか。

「大朝露童子」のある井荻公園のすぐそばには、ガイドマップではトトロの樹との表示がある。坂の上のけやき公園というところだ。樹齢150年というケヤキの大木、この季節だから葉は落ちているが、夏場なら相当なボリュームだろう。このあたりは善福寺川の谷を見下ろす台地になっている。杉並区が街並み整備を進めているようだ。こういうふうに自治体がイニシアティブをとるのは、税収がある反面で街自体のエネルギーには不足しているということかも。

最後の一体は「竜神童子像」、これは再来年の年賀状に使えそう。ドラゴンズのリーグ連覇、日本シリーズ制覇のあとになったら言うことない。これで逆時計回りに西荻一周だ。時刻は午後4時過ぎ、新幹線までの時間を西荻窪駅前の居酒屋「戎」で過ごす。

こりゃすごい。狭い路地の両側に何軒の店があるんだろう。本店、二号店、三号店…。間に別の店が挟まっていたりするが、一体が全て「戎」になってしまいそうな勢いだ。各店にビールサーバーはあっても、料理はひとつに集中しているようで、店のおにいさんが注文の品を持って路地を走り回っている。アジア的雰囲気が横溢。いちおう「やきとり」と称しているが、何でもある。しかも安くて美味い。鶏ならぬ牡蠣の串焼きが最高で、何回も注文、日も暮れない時刻からお酒が進む。といっても店には明日のためお酒は5杯までという貼り紙があったりして面白い。

ここがオペラシティにある「戎」のご本尊のよう。あっちは小綺麗な店で副都心価格のようだが、こちらは西荻価格ということか。新宿から中央線で15分、電車賃ぐらいあっという間に元が取れる。しかし、ふつうの飲み屋の時間に来ると確実に満席らしい。次に来るときも時間を考えなくては。

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