由布岳から湯布院温泉へ ~ これでとうとう全都道府県
2011/10/23

仕事の土曜日は雨が降ったり止んだりだったが日曜日には回復、天気次第でと用意はしてきた山の格好が役に立つ。前夜にレンタカーを借りていたので7時にはホテルを出発。これでも車で行く普段の日帰り登山にしては遅いほうだ。47都道府県で唯一足を踏み入れたことのない大分県に向かう。目指すは由布岳、時間があれば下山後の湯布院温泉と目論む。

新幹線が鹿児島まで伸びても東側の大分県、宮崎県は大阪からでも遠い。北九州に出張の機会でもなければ、なかなか叶わない山登りだ。同じ距離と時間なら山屋としてはつい中部山岳に足が向いてしまうし。

かなり降った雨の余韻は残っているが、だんだん雲は上がっていく。快晴とはいかないにしても、暑からず寒からずの登山日和とも言える。福岡県の東部、高速道路はところどころしか完成しておらず、国道のバイパスはあっても思いのほか時間がかかる。宇佐別府道路からようやくスムースな走行となり、湯布院インターに着いたのは10時、最短ルートの南側登山口までやまなみハイウェイを辿る。無料駐車場は満車だがちょうど一台出たところ、朝一番の登山者が下山したのか、これは僥倖だ。道を挟んだ広い有料駐車場に駐めている車も相当数あるのだから。

登山口から望む由布岳 (ダブルクリックすると拡大しスクロール、クリックでもとに戻る)

残念ながら山頂部は雲に隠れている。それでも火山群らしい眺めが広がる。隣の別府からロープウェイが架かる鶴見岳は全容が望める。天気が悪ければそっちに登ることも考えていただけに、この天候回復はありがたい。

草原から樹林帯、その上は急登になって頂上付近は岩稜になっていそうな山だ。一気に登って2時間というところか、登山口から標高差にして800mほど、とても効率のよさそうなルートのようだ。

コースの左手に飯盛ガ城という名前どおりの小山がある。その鞍部までが緩やかな登り、そこからは登るほどに傾斜が急になる。ジグザグの折り返しがもどんどん頻繁になって、とても判りやすい登り方だ。火山特有のゴロゴロと岩が転がるような道ではなく、意外に歩きやすい。ぐんぐん高度を稼ぎ麓のパノラマが開ける。眼下の湯布院の街から遠くは九重のほうの山並みだろう。汗はにじんでくるが、気温自体は暑くも寒くもない。きっと、昨日までなら大荒れの天気、この雨男にしては珍しいことが起きた。まだ錦繍というほどではないにしても、山肌は秋の色を纏い始めている。

由布岳の麓、湯布院の町を見下ろす (ダブルクリックすると拡大しスクロール、クリックでもとに戻る)

40分ずつ刻んで休憩2回で山頂との目算どおりのペースで由布岳1583mに達する。傾斜もそうだが、山頂部の岩場はちょっとしたアルプス気分である。火口壁に東峰、西峰とあって、最高地点は西峰になる。両峰の鞍部には多くの登山者が休んでいる。これからピークを目指す人たちなのか、既に登り終えた人たちなのか、はたまた鎖場の連続にここまででいいやと断念したのか、お年寄りや子どもいるだけに存外ピークは諦めという人も多いのではなかろうか。

さっさと登れば10分もかからない岩登りも、登る人が続くので渋滞気味だ。慣れないと怖いのは判る。怖いから岩に体を寄せるので足下が見えなくなり余計に怖くなる。鎖がしっかりしておれば体は岩から離したほうが、ベクトルの図を思い浮かべれば安定性が増すのは自明なのに、頭で判っていても体が、ということだろう。今どきの槍ヶ岳や劔岳ではもっとひどい渋滞が起きているんだろうなあ。

途中の道の駅で買った地元特産のお弁当がなかなか美味しい。頂上部のガスは晴れる気配もなく三角点で記念撮影するしかない。まあ、いつもと同じこと。一気の下りに備えて靴紐を締め直す前に両膝のサポーターだ。近くのアウトドアショップで見つけたナイキの製品、格安の買い物だったが効果のほどはいかに。今回はいつものタイツはやめてこちらを試す。

最近では珍しいことに、下山は追い抜き一方、後塵を拝することが皆無だったのはサポーターの威力か。全く痛みが訪れないのは嬉しいことだ。これなら泊まりがけの縦走もできるかな。

景色を眺めながらゆっくり下ってもよかったのだが、ここで時間を浮かすことができたので湯布院温泉が実現だ。街はずれにある夢想園に車を入れる。観光パンフレットの割引クーポンを使うと日帰り入浴600円、広い露天風呂で由布岳が正面である。もっとも依然として山頂は隠れている。麓に温泉がある山登りは最高、ましてや天下の名湯ともなれば。
泊まれないのが残念だが、贅沢を言い出せばきりがない。帰路は大分自動車道を西に向かう。かなり大回りだが、こちらだと湯布院インターから小倉駅北インターまで全て高速道路、小倉18:55のひかりレールスターに悠々である。かくして、初めての本格的な九州の山登りはフィナーレとなる。

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system