冬の関西1デイパス使い倒し
2012/2/25

午後に姫路で仕事、出るついでだから、京都での飲み会もこの日にしてくれと自分の都合で決めた。いちおう主賓ということなので、その程度の我が儘は許してもらうとして。それで思いついたのは「冬の関西1デイパス」というJR西日本の企画きっぷだ。
 大阪近郊区間が乗り放題で2900円、大阪・姫路間を普通に買うと片道1450円なので往復運賃と同じ。もっとも大阪・元町間の昼得きっぷと元町・姫路間の回数券バラ売りの合わせ技だと1450円もかからない。ただ、今回は大阪・京都間も乗車するので、この区間を昼得としても少しは割安だろう。JRだけならよほど遠出しない限りさほどお得ということではないが、面白いのは「冬の関西1デイパス」には、京阪または南海のオマケが付いている。大阪のリバークルーズか高野山の周遊だ。どちらも冬のシーズンは閑散期ということでのタイアップなんだろう。金額換算すればオマケ部分の通常価格は2000円を超える。

大学入試に向かう次男を送り出したあと、8時過ぎには家を出る。京橋駅で京阪のフリーきっぷを貰う。天満橋まで京阪電車、駅の改札口を出て川のほうに出ると、そこが八軒家の船着場、今でこそ水上バスだが、平安の昔は伏見港から淀川を下り、ここから陸路を辿り熊野詣という道筋だった。今は観光船が発着するから同じようなものか。天満橋から乗船し、淀屋橋まで大川を下る。中之島公会堂を川面から眺め淀屋橋港に到着、そこから引き返して大川を桜宮方面に遡る。

中之島に勤務したこともあるので馴染みの風景のはずが、昔と違った眺めにも遭遇する。古いビルの上階にフレンチの三つ星レストランのロゴが架かっていたり、噴水なんかができていたり、極めつけは水陸両用観光バス(?)である。そんなものが走り出したというニュースはずいぶん前に聞いたことがあるが、実物を見たのは初めてだ。何だか奇天烈な乗り物だ。

この水上バス、いくつかの船着き場を回り約1時間で元に戻る。この1デイパスのせいなのか、結構船内は賑わっている。オフシーズンだからガラガラだと思っていたのに驚きだ。団体で乗っているのは中国人か韓国人の観光客のよう。船内のアナウンスが日本語と英語じゃちょっと気の毒、誰がお金を落としてくれるかを考えなくちゃいかん。

船内で天井を下げるデモンストレーションが始まる。大潮で満潮のときには頭を擦るぐらいに下げないと橋をくぐれないらしい。若い女性のグループはキャッキャ言っている。この水上バス観光が賑わうのは何と言っても桜の頃だ。それは隅田川の水上バスと同じ。桜之宮公園、造幣局の通り抜け、桜のスポットが両岸に続く。今年の花は遅そうだが…

大川から離れ、寝屋川、第二寝屋川のルートで大阪城港に向かう。このデルタが大阪ビジネスパーク、ここも昔勤務した場所だ。それどころか、この川でレガッタを漕いだこともあるのだ。
 あの頃、オイルショックの煽りで再開発計画がストップしてしまい、一部にオフィスピルが出来ているものの、ほとんどは更地や倉庫のままだった。元はと言えばここは陸軍砲兵工廠のあったところ、軍需工場なので戦争末期に徹底的に爆撃されたところ。当時の建物もごく一部残っているのと、水上からは兵器搬出用のトンネル水路も確認できる。開高健の「日本三文オペラ」、小松左京の「日本アパッチ族」の舞台となったのはここだ。爆撃で廃墟となった砲兵工廠から鉄くずを回収する稼業、彼らをアパッチと呼んだ。

昭和も終わりに近づいてようやく再開発が動きだし、ホテル、コンサートホール、オフィスビルが林立するようになったが、最初期の入居者としては周りのビル建設が進むとともに、不発弾処理のための避難が年中行事のようになった。もともと地盤の柔らかいデルタである。ズボッと地中深く沈んだ不発弾がビルの基礎工事のときに見つかる。自衛隊の爆発物処理班が出動し、不発弾から半径300m以内は一般人立入禁止、大阪環状線の電車も止まる。仕事中に何度避難したことか。当時は完全週休二日ではなく土曜日は半日、出勤と同時に避難開始、避難命令が解除されて会社に戻った途端にお昼の終業チャイムなんて笑い話のようなこともあったなあと、古いことを思い出した。

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