コンサートの前にロックガーデン
2012/5/27

4月、5月と何かと忙しく、コンサートからも足が遠のいた。そのくせウォーキングは時間を見つけては出かけていたのだから、ウェイトがシフトしただけのことか。久しぶりに午後のコンサートに出かける予定の日曜日、いつもどおり6時前に起きてしまったからずいぶん時間がある。今日の会場は西宮北口だから、ちょっと六甲の前山歩きをしてからでも間に合うぞ。朝寝している家族を横目にデイパックに着替えを入れる。西宮北口を過ぎて芦屋川まで阪急電車だ。

さすがに六甲山、ハイキングする人の数が違う。芦屋川の駅前は老若男女さまざま、人だらけだ。メルセデスやBMWが当たり前の邸宅街を30分ほどで抜けるとすぐに山道、六甲山はどこでもそうだ。いきなり登山の新神戸駅の裏ほどではないが大差はない。ロックガーデンの入口の茶屋はたいそうな混雑、ここで一休みしてさあ登るぞというところだ。ここは高座の滝、岩場の藤木レリーフと有名スポット、山登りを始めた頃に来たかも知れないが、記憶は定かではない。

高座の滝からは尾根筋の登山道を辿るのが一般コース、ほとんどのハイカーは列をなしてそちらに向かう。私は当然の如く登山地図で破線で示された地獄谷のルートに入る。岩登りをするわけでもないし、危ない岩場には捲き道もあるだろうから問題なしとの読みだ。よく歩かれているようで、足場もしっかりしているから連続する小滝の直登も全く不安はない。

と、調子に乗ったのがいけなかったか、メインのルートを右に見送り堰堤のあたりからだんだん踏み跡が怪しくなってきた。尾根に出たら岩稜上にルートがあるから藪漕ぎでもいいのだが、無理は禁物、少し戻って尾根に上がることにする。それでもメインルートまでは戻らない。かなり危なっかしい踏み跡を辿り、その先はチムニー状の岩登りになってしまう。そこが風吹岩から派生する岩稜の末端のピークだ。ここでいちおうの登山コースに合流ということになる。思ったより時間を食ってしまったので私も昼飯、ルートを外れたこのピークで休んでいた登山者は3人だけ。コースと反対側の裏手の岩から人が現れても驚きもしない。と言うことは、彼らもバリエーションルートで来たのかも知れない。

ロックガーデンは神戸の地震で谷の様相が一変したらしい。尾根の名前になっているB懸垂岩というのは崩落したとのことだ。昔の記憶はないからこのコースを登るのは初めてなんだろう。子どもを連れた父親の姿も見かけたが、このコースを歩かせるのはかなり危険だ。「お子さんに注意してくださいよ」と声をかけたが、あまり山慣れていないのかピンとこないようだ。山の経験とは体力や技術ではなく危険予知能力であると考えている私には空恐ろしい気さえする。しばらく足場の悪い稜線を進み、一般登山コースと合流したらすぐに風吹岩だ。ここは前に来たことがあるかも知れない。いずれにしても40年以上も前のことだ。一帯はハイカーで鈴なり状態、あとの予定もあるので早々に下山ルートをとる。

南へ向かう尾根を下ればすぐに保久良神社、もうひと下りで岡本八幡神社、登りもそうだが下りもいきなり市街地だ。側を流れるのが天井川、これは固有名詞である。この東の芦屋川や西の住吉川は一般名詞の天井川で、JRは川の下をトンネルで抜けている。いずれも鉄砲水の危険があるところだ。
 さてその固有名詞の天井川、山の麓では大きなイノシシが悠然と散歩中だ。今や六甲名物となった感のあるイノシシ、ハイキングコースの随所にイノシシに餌をやるなとの注意書きがあるぐらいだ。山に向かって市街地が拡大していく場所だし、彼らが悪いのではないが、住宅地をのんびり歩く茶色い巨体にはギョッとする。阪急岡本駅からも遠くない場所、住民にしたらもう慣れっこなのかも。午後になり気温も上がった。もう夏のようだ。さて、どこで汗を拭いて着替えるかをを考えなくては。

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