柳生、車で山登り
2012/6/3

カミサンを近鉄奈良駅近くまで送ったついでに、そのままちょいとドライブ。奈良の観光スポットから外れたところを巡る。このところ出向くことが多い柳生方面への道、県道80号を行く。そして脇道の県道183号に入る。3桁の県道だからほとんど農道、それをしばらく進んで須山町、此瀬町に入ったところにあるのが太安万侶の墓。ここも奈良市だ。私が住んでいるのは西の端、昔の月ヶ瀬村も今は奈良市なので、まだまだ東まで市域は続く。まあそんなことは驚くにあたらないか。海抜0mから3000mまである静岡市に比べれば大したことではない。

古事記の編纂者として名高い太安万侶、天皇でもない奈良時代の高級官僚の墓が特定されるなんて信じがたいことだが本当らしい。あたりは茶畑、その茶畑から近年になって墓誌が出土したことで重要文化財に指定されたようだ。一角はきれいに整備されている。稗田阿礼を祭る賣太神社(大和郡山市稗田町)というところにも行ったことがあるが、「阿礼様音頭」なるヘンなCDを販売していたりで、眉唾みたいな気がしたことがある。真偽のほどを判断する知識は持ち合わせていないが、奈良に住んでいると少々古いものにも驚かなくなる。ボストンで市内観光バスに乗ったとき、古都自慢のガイドに彼我のタイムスケールの違和感を感じたことを思い出す。たかだか300年だろうとは言わなかったが。

次に向かったのは一体山、地形図ではいちおう山らしい等高線で囲まれているが、林道がほぼ山頂まで伸びている。これを車で上れるかどうかは行ってみないと判らない。ただ電波塔が三角点の横にあるから、その建設・保守のために車が入れる道だろうと想像はつく。まあ、この程度は林道を詰める山登りなら普通、対向はできない狭さだが走る車などいない。麓の集落から分け入るとき、何だあの車はという風情で振り向く地元の人の視線を感じる。どうもお騒がせしてすみません。ただの酔狂な登山者で。

林道の終点はやはり電波塔、そこから1分もかからず山頂だ。こんな低い山に電波塔を建てる必要があるのは、顕著な高地が少ない奈良県北部という事情もあるのだろう。古そうな役行者の石像も三角点の脇にある。このあたり、石仏の多い地域だし昔はそれなりに信仰の山だったのか。

林道を走る緊張感が大好き。登りでは落ち葉で磨り減ったタイヤがローギアで空回りということもあった。下りはよりいっそう慎重に。何かあっても対向車に手助けしてもらうことなどできない道だから。

それで、最後は少しはメジャーな古刹、柳生の円城寺に立ち寄る。前にも来ているが、そのときには外から庭だけを眺めたように思う。今回は拝観料400円を払って境内に。立派なお寺だけど、やはり奈良の中心地からの足の便の悪さか、観光客の姿は少ない。車なら家から1時間もかからない場所なのに。同じことは、ちょっと遠回りして経由した岩船寺や浄瑠璃寺についても言える。浄瑠璃寺は境内を散策するだけなら無料、ゆったりした気分に浸れて好きなお寺だ。もっとも今日は参拝ではなく、道端の農家で売っている安くて新鮮な野菜を買うための回り道だったが。

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