木津川両岸の里山に ~ いろんなものがあるもんだ
2012/8/15

お盆だけど、なら燈花会の関係でカミサンは忙しい。この日も仕事ということで近鉄奈良駅まで車で送る。こちらは長い盆休み、山登りに備えて歩いておかねばと帰りに寄り道、いつも青春18きっぷを買いに行く玉水駅の近くを散策だ。駅前の案内図には小野小町の墓というのがあり、行ってみることにした。このあたりかと車を走らせたがよくわからない。道端に駐めて集落の細い道を進む。向こうから60年前の小町がやって来る。
「すみません、小野小町の墓というのはどこなんでしょうか」
「ああ、それやったら、この筋を行かはって、突き当たりを左にちょっと登ったとこですわ。木が一本立ってますさかい、すぐわかりますわ」

的確な案内ですぐに到着、「色も香も なつかしきかな 蛙鳴く 井手のわたりの 山吹の花」というのが小町の歌ということで、歌碑に刻まれている。もっとも、生没ははっきりせず、全国に墓があるらしい。冷泉家の文書ではここ井手町が濃厚とされているようだが。
 車も入れないような村の道端にひっそりと佇む塚、真偽のほどはともかく、地元では確信しているはず、歌碑に刻む歌の選択にもそれが明らか。

そして次に向かったのは案内図に駒岩と書かれた場所、ここも場所がよく判らず車で通りすぎた。途中にあった左馬ふれあい公園に戻る。どうもこの小さな公園に駒岩があるんじゃないだろうか。数台分ある駐車場に車を置いて川沿いの公園の奥に進む。掃除をしているおじさんの姿が見えたので尋ねてみる。
「すみません。駒岩というのはどれなんでしょう」
「この中、上のほうに馬がおりまっしゃろ。山からここまでころこんできよりましたんや」

昭和28年の水害で山腹から落ちて来て、この場所に止まったということだ。それで妙な位置に馬の姿がある。洞穴に入って天井を見上げるような感じだ。女性の芸事に御利益のある縁起物ということで、花柳界で馴染みのあるもののよう。

さて、次はちょいと山登り。と言っても頂上までのドライブだ。地図には大峰とあるが通称は万灯呂山、果樹園を抜けて狭い道を登り切った山頂が公園になっている。ここは木津川を見下ろす展望台、前に来たときは何台かの車があったが今日は1人で眺望を独占。こんな暑い時期には人気がない。

次に向かうのは甘南備山、木津川の右岸から左岸に場所を移す。こちらも頂上近くまで車道が伸びているのだが、麓の駐車場から先は通行禁止、登山道を辿る。大雨のあとなので217mの低い山とはいえ道には水が流れる。

頂上には甘南備神社、稜線からは先ほどと逆の位置から木津川の流れが見下ろせる。けっこう登山者もいるようで、何本もの登山道が麓から通じている。手ぶらでウォーキングにしては意外な距離感、ぐるっと回って1時間以上の足慣らしになった。北アルプスの準備にしては大したことはないにしろ、体を動かしておくことが大事、少なくとも暑さへのトレーニングにはなるだろう。

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