鈴鹿・雨乞岳 ~ 台風の前に
2012/9/29

台風が近づいているけど、土曜日は何とか天気がもちそう。紅葉には早いにしても、暑さは遠のいた。未明から車を走らせる。名阪国道を伊賀インターで下り国道477号、またの名を鈴鹿スカイラインで武平峠まで登る。車でないとアプローチしにくい鈴鹿西部の山、雨乞岳が目指す山だ。

三重と滋賀の県境、武平峠の東西の入口から登山道が伸びている。短いトンネルだから、それだけ稜線近くまで車道が登っているということ。山登りに利用価値が高い。もっとも、ライダーたちのツアーコースにもなっているようで、走る車の半分ぐらいは二輪だ。7時を過ぎたばかりなのに、西側入口の両側に設けられた駐車場はほぼ一杯だ。同じように天気が崩れる前に登ろうという人たちが多いとみえる。雨乞岳の登山口の脇にスペースを見つけデミオを駐める。

武平峠から尾根に向かって南側の捲き道を進むと、いつの間にか尾根を越して北側の斜面に移る。同じ捲き道でも先日登った稲村ヶ岳とは大違いの歩きにくい道だ。登山者の少なさもあるし、手入れがあまりされていない。大雨での傷みもそのままという箇所も目につく。コースには赤いテープが沢山巻かれていても、パーキンソンの法則じゃないが肝心なところにはない。ルートを誤りそうなところも多い。シロヨメナの群落があちこちにあり、トリカブトともども目を楽しませるが、油断の出来ないコースだ。

尾根を乗っ越した後は沢筋の道となる。谷筋が複雑で、クラ谷分岐という箇所からは北に下る沢を離れ小さな尾根を越して隣の谷、つまりクラ谷に入る。雨乞岳の回遊コース、つまり、北側に下山し杉峠から神崎川沿いに下り、コクイ谷登り直すルートがあり、このクラ谷分岐に至る。
 大きな注意看板がある。回遊コースを辿り、沢筋で道に迷って日没となってしまうケースが頻発しているようだ。熟達者限定なんて書き方をしているが、ガイドブックには普通にコースが記載されている。このギャップが事故のもとということだろう。出発が遅ければ沢の登り直しが午後遅くということになる。紅葉の季節で道に迷えば釣瓶落し、疲れも出るコース最終盤、ただでも暗い沢筋と条件が揃ってしまうということだろう。25000分の1の地図を見ると沢筋のややこしさが判る。鈴鹿の山は一癖あるのだ。

ブナ林のなかクラ谷を詰めればすぐに雨乞岳に続く稜線だ。稜線のすぐ下に水量の多い沢が流れる地形も谷筋の複雑さの裏返しか。ここからはひたすらの登り、やがて笹原になり周囲の山が見渡せるようになる。振り返れば御在所山、右手の鋭峰は鎌ヶ岳だ。暑いなか登った記憶が蘇る。登り切ったところが東雨乞岳、広い頂上は遮るものがない。台風の予兆の雲が満ちている。天気はまずまずだが風は強い。まさに嵐の前という情景。

東雨乞岳から雨乞岳まではササの尾根を歩く。標高は少し高いものの頂上としての開放感はあまりない。雨乞の名の由来とか、頂上に小さな池があるのだが、水はたまっていない。東雨乞岳と同様、三角点が置かれた狭い頂上からは四囲が見渡せる。こちらからだと、西の綿向山がより近く立派な山容が望める。次に鈴鹿の山に登るのはあそこかな。

下山はもと来た道を引き返す。回遊コースに向かう登山者の姿は見かけない。あの看板が効果を発揮したということか。山頂が昼前なので時間的には余裕にしても、空模様は下り坂なのが明らかなのだから、リスク回避というのが普通の考えだろう。往路を辿っているのに、ときどきルートを外れ20mほど引き返すなんてこともある。
 そして、さっさと下りて湯の山温泉で汗を流すというのも計画のうち。この方面の日帰り登山ではいつも立ち寄るホテルウェルネス鈴鹿路(旧ヘルシーパル湯の山)、温泉街から離れ近鉄の駅に近い。入浴600円、早い時間なのでとっても空いている。名阪国道に入る頃にはいよいよ雨が落ち出した。予報よりは少し遅れ気味か。台風の前に雨乞岳とは不埒なこと。家に戻れば植木鉢の取り込みをしなければ。

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