大正池から大焼山へ
2012/12/1

大正池から焼岳へ、ではない。確かに夏に焼岳に登って大正池に下りてきたけど、今回は京都のお話、山城にも大正池があったということ。紅葉のなか静かな里山歩きの半日となる。

12月1日は冬の青春18きっぷの発売日、いつものJR奈良線玉水駅に車を走らせる。販売駅が極めて少ない赤い青春18きっぷ、てっちゃん垂涎のアイテムだ。ここまで買いに来るマニアも多いとみえて、「はいはい」と、さっと切符が出てくる。無人駅ではないものの業務委託なので、昼休みで小一時間不在になるというのんびりした駅である。

駅舎の隣には玉水駅前休憩所さくらという店があり、お弁当も売っている。稲荷寿司5個入り350円を買って、玉川沿いに山に向かう。夏に訪れた小野小町の墓を過ぎ、左馬の公園に立ち寄る。前回は携帯のカメラで岩に彫られた絵が不鮮明だったので、デジタル一眼レフで改めて撮影、まあまあの感じかな。

大正池というのは溜池らしい。京都府下最大のものとか。もともと二つの池があったそうだが、昭和28年の南山城水害で決壊した後に再構築したものだという。今は井手町野外活動センター「大正池グリーンパーク」となっている。近いところに住んでいながら、その存在も知らなかった。

川沿いの駐車場に車を置いて、ダムの高さ相当分、池の畔まで登る。いくつかのバンガローが並んでいる。紅葉の季節なので宿泊者もあるようだが、地元以外の知名度は低そうだし、どれだけの利用者がいるのだろう。そのぶん、静かだ。同じ名前の信州の池の賑わいとは天地ほどの違い。池の東側の周遊路をぐるっと回って北の端で林道と合流する。しばらく林道の緩い登りとなる。と、何やら騒がしいエンジン音、後から数名のライダーが追い越していく。車止めのゲートがあったのだが、脇をすり抜けたか、仲間と担いで越えたかだろう。車の通れる道があるから走るわけで責めるつもりもないが、山の楽しみ方はいろいろ。

さて、大焼山への登り口は林道が峠を越すところから分かれている。25000分の1の地図の道がこれだろう。登る人は少ないはずだが、思いのほかしっかりとした道が続いている。この季節、落ち葉が覆っているのでところどころ不明瞭にはなるが、迷うほどではない。地図の三角点を目指して小さなピークをいくつか越えていく。池の畔から眺めたらのっぺりとした山だったし、ここが山頂かなと思っても三角点はまだ先だ。人っ子一人いない山道、カサコソと落ち葉を踏みしめる音と鳥の声だけ。ようやく辿り着いた大焼山のてっぺん、標高429m、高さだけなら里山だが、人里からは少し離れている。樹林の中なので展望はない。復路も誰にも出会わず、ほんとに静かな山歩きだ。

大正池に戻ると人の姿を敏感にキャッチして水鳥の編隊がこちらに向かってくる。きっと餌付けされているのだろう。林道のゲートの前の空地にはマイクロバスが2台駐まっていた。フロントガラスの表示からは、オムロンのCSRでやっている森林保全活動に参加する社員が乗ってきたのかと思われる。他にもワタキューセイモアとか、ここには企業が金と人とを出しているようだ。彼らのCSRレポートに掲載されるにしても大して注目されるわけでもない。陰徳の類だろう。でも、こういうのが当たり前になれば、世の中は少しずつ良くなると信じたい。

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