なあんだ、雨天中止
2013/5/19

奈良に住んでいても年中行事に合わせて寺社に詣でることはほとんどない。それが、珍しく出かけたものだから、雨男の面目躍如、唐招提寺のうちわまきは開始一時間前に中止となった。「とうちゃんと出かけると、いつもこれやから」とはカミサンの弁、いやあ、毎度すんまへん。

十年以上も工事していただろうか、このお寺に来たのはずいぶん昔のことのように思う。平成の大修理ということなんだろう。確か、BRUTUSという雑誌は、その特集号を出していたはずだ。まあ、金堂にはずらりと国宝の巨像が並ぶ古刹だけに格別の取り扱いだった。まだ興福寺の阿修羅フィーバーなど起きる前のことだ。

うちわまきは午後3時の予定、昼過ぎには着いたので境内を隈無く歩く。まだ雨は落ちていないが、いつ降り出しても不思議じゃない空模様。案の定、宝蔵の見物を終えて建物を出たら傘を開くしかない空模様、さあて、これは無理かも。

うちわまきが行われる鼓楼の周りには、たくさんの団扇が展示されている。近づいて見ると、各界著名人の手になる揮毫や絵付きのものが並んでいる。これも一緒に撒くのだろうか。となると、争奪戦も激しくなろう。撒かれる団扇はたいがいはボロボロになってしまうらしい。

金堂と講堂の間に舞台がしつらえてあるが生憎の雨、講堂の庇の下で舞楽奉納、楽人たちは金堂の庇の下という配置、傘の花が咲き背伸びをしないと何も見えない。メディアのスタッフたちもこれでは良い映像は撮れないだろう。この舞楽は前座のようなもので、続いてうちわまきとなるはずが、「協議の結果、中止」というアナウンス、事前申込をした人には配られるらしい。もちろん、境内でも売っているのだがお代は1000円、実用性は低そうだし、拾えば無料のものを買う気にもならず。お寺にとっては賑わいだけのケチな参拝客である。

近鉄西の京駅で帰りの電車を待っていたら、向う側のホームに立つ薬師寺の行事案内の看板が目に入る。毎月第3日曜日は弥勒縁日とか。午前には法要があり、午後には薬師寺21世紀まほろば塾の講演会があったらしい。講師の名前が3人並んでいる。寺島実郎、阿川佐和子、デューク更家と売れっ子を揃えギャラが高そう。さすが薬師寺、お金があるなあと妙なところで感心。それにしても、何とも言えない組合せだ。うちわまき中止が判っていたら、こっちを聴いたのに。

この薬師寺もボロ寺だった時代があったらしい。高田好胤管主が発案した一般参拝者の写経勧進が、管主のメディア露出も相俟って大当たりを取り、ついには西塔再建まで成し遂げたのだから大変な商売人だ。もう亡くなって久しいが、坊主にしておくのは惜しい人だったかも。

そんなことを考えながら電車を待つ。件の看板の横には「法相宗大本山薬師寺」と刻まれた大きな石塔、これらに挟まれて柱に「にしのきょう」と慎ましい近鉄の駅名看板、「西の京」という名前は悪くないにしても、週末ダイヤで特急が停車するのは「薬師寺前」だから。いっそネーミングライツを薬師寺に買ってもらったらどうなんだろう。

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