️車で登る吉野三山
2013/6/9

日本中に「何とか三山」というのはいっぱいある。高くて有名なところでは白根三山、白馬三山、鳳凰三山、越後三山…。その対極みたいなのが大和三山、こちらは有名だけど盆地の瘤みたいなもの。京都市内にも知名度・標高ともに低いが葛野三山というのがある。このあたりになると半日もあれば三山巡行ができる。そして吉野三山というのもあるのを知った。これは行かねば。どうやら山頂まで車でも行けそうだ。下市あたりから南に望む山のよう、大峰方面に行くときは脇を車で通過してしまうような山だ。

先ずは栃原岳、531m、波比賣(はひめ)神社というのがてっぺんにある。どこまで車で行けるかなと、頂上に向かう車道を辿ったつもりが、ひとつ北側の林道だった。どうも山頂までは行けそうもないし、路面も怪しくなってきた。上に向かって続いてはいるものの、ハンドルを何度か切り返さないと曲がれない屈曲だ。ここで諦めて歩き出すと、何のことはない、ずっと立派な車道に出る。里山ハイキングコースの道標も立っている。どんどん先に進むとNHKの電波塔だ。その裏手、本当の山頂に神社、ずいぶんと立派なものだ。

山頂直下には展望台もあり、下市から五條方面まで見渡せる。きっと下から見上げると大峰山系の前山という感じに見えるのだろう。私のような物好きも珍しいとみえ、登ってきている人も車もない。結局、車で登るつもりがほどほどに歩いた感じ。ちょうどよかったかも。

下市町から西吉野村へ。もっとも今は五條市に編入されている。次は銀峯山、こちらのてっぺんの神社はもっと立派だ。波宝(はほう)神社というらしい。赤い鳥居の向こうに車道が続いている。下りてくる車が1台、ということは上まで行けるということ。ギアをローに入れて急坂を登る。地元の信仰が篤いのだろう、里から近くもない山の上にこんなお社があるとは。今の建物は1672年の建立とのことだが、遡れば858年という。千年以上も前からここに詣る人がいたということになる。世界遺産になった参詣道に沿った場所だから往時の賑わいはそれなりだったのかも。

さて、三山の残り一座は櫃ヶ岳、少し南に下り、再び下市町に。西吉野村十日市から丹生川の上流、下市町貝原へ。この集落から櫃ヶ岳への車道が延びているはず。森林公園やすらぎ村の手前で右手の車道に入る。もちろん対向などできない幅員、カーブというか鋭角の折り返しで高度を上げる。こんな山の中にも民家があり案内図まで備えられている。ここでも里山ハイキングコースの道標に出会い、これを頼りに進む。

最後の民家を過ぎてだいぶ走っただろうか、そろそろこの辺で車を捨てようかと思った地点に櫃ヶ岳350mの道標。まだ先へ行けないこともなさそうだが、やはり少しは歩きも必要、ちょうど鳥居のところから登山道も付いている。こちらの山頂直下にも社があったが、前の二社と比べるとかなり貧相な感じだ。その代わりと言っては何だが、切り開かれた南面からの遠望が素晴らしい。

ここは大峰山系の展望台である。すぐ判るのは稲村ヶ岳の左肩に蝋燭を立てたような大日岳の鋭峰、右に眼を転じると行者還岳、そして大きな山容の弥山と続く。あの稜線が熊野に続く奥駆道。

車で吉野三山、歩いたのはうち二山、林道ドライブなのかウォーキングなのかよく判らない山登りとなる。そして締めくくりは温泉、西吉野温泉きすみ館。早く家を出たのでまだ正午前、空いた湯舟にゆったりと浸かる。

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