嵐山散歩 ~ 台風から旬日
2013/9/28

16日の敬老の日、ひどい雨風で目が覚めた。亀岡で午前中に仕事、午後に津までコンサートを聴きに行く予定だったけど、こりゃダメだ。テレビをつけると聞き慣れない特別警報があちこちに出ている。何のこっちゃ。それよりも画面の渡月橋がすごいことになっている。橋の上まで水が迫っていて溢れんばかりだ。

亀岡の行事は中止になったが、翌日に新聞の写真でびっくり。線路は冠水、駅のホームが島のようだ。この駅で9:30に待ち合わせなんて寝言もいいとこ、JR嵯峨野線はもとより運休。午後の予定も同様、台風が通過したので三重県立文化会館に電話を入れると、何と、コンサートは予定どおり開催という。新日本フィルハーモニーの人たちは昨夜のうちに東京から移動していたのか。ところがどっこい、近鉄は青山高原あたりで土砂崩れで不通。特急は名張から先には行かない。私のような近鉄利用者は不可抗力ということで払い戻しの措置がとられるらしい。やれやれ。よく降ったものだ。

それが十日ほど前のことだ。仕事で京都に出た土曜の午後、カミサンと嵐山界隈をウォーキング、嵐電四条大宮駅に祇王寺のポスターが貼られているのが気になっていた。ここには二人とも行ったことがない。

嵐電嵐山駅の周りはずいぶん賑わっている。あの渡月橋はどうなっているんだろうと物見高い人たちが押し寄せているのか。それがなくとも観光シーズンの週末だ。

天竜寺の前を素通り、向かったのは落柿舎、そこと祇王寺に行くというのは少しマイナーな観光コースかも知れない。竹林の道の大混雑と比べるべくもない人の少なさ。落柿舎は俳人の寓居ということで、柿の木はもちろんだが、庭の紫式部に目が止まる。駅界隈の賑やかさが嘘のような閑静な佇まいだ。

落柿舎から北への道はいちおう車も走れる道、さらに北に辿ると化野念仏寺から清滝ということになる。平家ゆかりの祇王寺は苔むした庭を眺めるところ、よその強欲な京都の寺とは違って入園料の設定も安い。商業施設と同様、内容と立地、経済原理は仏様だって例外ではない。

赤い曼珠沙華が緑に映える。これがほんとの紅一点、ちょっとくらい雰囲気が漂うが、とても風情のある庭だ。観覧者は10人ぐらいのもの。適正規模と言える。もっとも紅葉の季節になると、こんなものじゃないはずだ。

帰りは阪急嵐山駅から。件の渡月橋を渡る。両岸の店の水つきの痕跡は微か。とうに営業再開しているが、中州の店は軒並み閉まっている。紅葉の盛りに間に合うかどうかだろう。阪急の駅に向かって中州から架かる橋のたもとに人だかり、「ほら、あそこにオオサンショウウオ」と。おやおや、ほんとうだ。ここに棲み着いているのか、先日の豪雨で流されてきたのか、大きな入道頭が水面からのぞいていた。

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