隠でB級グルメ
2013/11/30

近鉄電車の妙な吊り広告に目が止まった。「圏際・食彩・文化祭 ご当地グルメでまちおこし in 名張 × B-1グランプリ」、いったいこりゃ何だ。11月30日と12月1日の2日間、名張で町おこしイベントということらしい。11月末日までの株主優待乗車証がちょうど2枚残っているから出かけてみるか。

名張の駅に降り立つと駅前にはスタッフの人たちが地図を配って案内中、それを貰って人の流れるほうに進む。駅から10分ほどの朝日公園というのがB-1グランプリのイベント会場のようだ。ついこの間、豊川市で開催されていたはずだから、これは本大会ではないだろう。きっとそこに出場していたチームをいくつか呼んで盛り上げようということかな。デパートの催事の定番、全国駅弁大会みたいな発想かと思う。まあ、なんでもよろしい、今日のお昼はB-1で決まり。

会場入口で10枚綴りのクーポンを2冊購入、文化祭みたいだ。広いグランドに各地のB-1グルメの屋台が建ち並んでいる。どれにしようかと、まず並んだのが富士つけナポリタン、つけ麺をスパゲティとトマトソースにした奇天烈な食べもの、味はまあまあというところかな。こんなところで作るのだから茹でたてというわけにはいかないし。
 次に、豊川いなり寿司、これは普通、具材が色々というところ。ここで食べる分と土産用を調達。そして、小学校の給食当番の格好で怪しげなおにいさんが呼び込みをしている。これは、津ぎょうざとかいう巨大揚げ餃子、なんでも津市内の小学校では給食の定番なのだとか。こちらは本当に揚げたて、それだけでも美味しい。最後はやはり粉もんで締める。明石焼をほおばればお昼ご飯はこれで充分、会場を後にする。

さてB-1のイベントと並行して街中では「隠(なばり)街道市」が行われている。初瀬街道の宿場町のむかしの表記となると「名張」ではなく「隠」、街角に青地の幟が立っていて、甘酒などの振る舞いも。目を付けていた古そうな酒屋、ここでやっている地酒のみくらべ会を覗く。B-1グルメもさることながら、こっちも楽しみ。

一升瓶をリュックに詰めて、江戸川乱歩生誕の地に向かう。この作家は名張の出身だったのか。ミステリーの大御所の生地としては知られていなくても、昔に起きた事件で名張の名が全国的に浸透しているのは住民にとって有り難くないことだろう。この日も街道市で人が集まっているところでは、奥西死刑囚を救おうといったビラを配っている人がいる。

普段は有料の施設もこの日は無料開放、最後に名張藤堂家邸を訪ねる。戦国武将、藤堂高虎の養子高吉が名張藤堂家の始祖ということだ。わざわざ名張を冠することで、本家でないことが知れる。本家は高虎の実子、高次が領知する伊勢国だ。養子の身の悲しさ、伊勢から伊賀に追いやられたという背景があるようだ。今なら近鉄特急で1時間もかからない名張と津(久居)だけど、布引山地で隔てられた両地、伊勢国からすれば名張は山の向こうの僻地だったのだろう。

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