伏見回遊
2014/1/26

近鉄竹田駅は通勤ルート上、なので交通費ゼロで酒蔵ハイキングに参加、今回は伏見の酒、黄桜酒造だ。月桂冠には行ったことがあるが黄桜はまだだ。

京都地下鉄が潜り込むトンネルの横を通って鴨川の岸に降りる。そうか、こんなふうになっているのか。いつも乗り換えをしているだけで、こっちのほうは歩いたこともない。コース自体はぐるっと大回りなので、ショートカットもできるけど、そこは正直にマップどおり、これは酒飲みイベントじゃなくてウォーキングなんだから。

油小路を南に行くと、鳥羽天皇陵、小ぢんまりとしたものだ。奈良にいると大きな天皇陵が当たり前のように思えるけど、時代も下るとこんなものなのか。

コースは城南宮に向かう。厄除けや曲水の宴で有名だが、訪れるのは初めて。周りにラブホテルが林立していて妙なロケーションだ。そのあたり、大阪の生國魂神社と似ていなくもない。

今回の酒蔵ハイキングには地元の大学生がボランティアで参加していて、コース案内や途中のスポットでクイズの出題、全問正解だと記念品がもらえるとか。城南宮での問題は、「城南宮の名前の由来となる城とは、何を指すのでしょう」というもので、簡単な三択、二条城なんて答も並んでいるが、もちろん平安京に決まっている。はい、答をマップの裏に書き込んだら、次。

油小路の上は阪神高速京都線の高架、下の路も交通量が多い。車で京都に向かうときにいつも通る道だけど、スピードが違うと景色も違う。足許は自転車道と歩道が分離されていて、歩道部分は足に伝わる感触がソフト、どうやらクッション素材でできているようだ。

京セラ本社が次のスポット、このビルの一階が美術館になっていて、今日のイベントに合わせ休日だけど特別開館。でも何かヘン、市民に公開する美術館なら土曜・日曜は開いているのが当たり前のような気がする。会社の営業日のみオープンというのは、取引先や見学者にコレクションを見せびらかすのが目的なんだろう。ピカソの版画、本業にも関係する中国磁器、日本画の三本柱の蒐集となっているが、最後のものは私の目には駄作揃いに見える。
 ピカソの展示の奥には駅の自動改札のような社員入口、その先のエレベータホールには、稲森氏の銅像がデンと構えている。存命中にこんなものを作らせる神経は理解できないが、どこの組織にも茶坊主はいる。そんな印象を与えるということは、ひねくれた人間には京セラの厚意も素直に受けとってもらえないということに。さて、クイズ第2問、「京セラ本社ビルは市内で3番目に高いビルですが、その高さは」なんて分からない。でもいまどきはスマホで検索、正解はすぐに出る。

油小路を離れて今度は東高瀬川沿いの道を歩く。一直線の水路は開削された人工物であることがよく判る。鴨川から上流が高瀬川、下流を東高瀬川と呼ぶらしい。南下して宇治川に至る。このあたり、宇治川と木津川の合流地点というか昔の巨椋池、干拓されて農地化されているが建造物はほとんどない。
 宇治川沿いに少し行くと濠川の合流地点、ここに三栖閘門がある。伏見港の歴史が分かる資料館を覗く。ここは伏見港公園の一角、往時は淀川を行き交う三十石船が出たところだ。都からの熊野詣でもここから水行ということ。

京阪電車のガードをくぐり濠川に沿った歩道を行くと伏見の酒蔵は近い。玉乃光はときどき飲むけど、月桂冠も黄桜も普段は飲むことがない。いつも地元の奈良の酒が多く、伏見の酒とはあまり縁がない。今シーズンのパターンとなった利き酒制限、何と黄桜では小さなカップ1杯だけというしぶちんぶり。さすが京都。寒いことだし、仕方なく有料の熱燗を一合。

黄桜のキャラクターになっている河童にちなんだ「河童資料館」や「黄桜記念館」がある。河童には興味はないが、「懐かしのコマーシャル」の映像資料は面白かった。テレビへの露出ということでは黄桜酒造はその魁と言ってもよかろう。大正時代の創業なので酒蔵ということでは新参、京都のことだから老舗からは低く見られて苦労したことだろう。電波に乗せて全国の市場に向けて売り込んだのは、京都ではまともに商売できないということの裏返しだったのかも。
 いま古いCMを見ると覚えのあるものが多いから、それだけ宣伝費をつぎ込んだのだろう。河童のアニメだけでなく、時代劇風のものがあったり、三浦布美子に代表されるような年増女優を起用する感覚は中高年がターゲットという感じ。と、自分ももはやその域だけど…

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