雨の太神山
2014/5/5

前日歩き足りなかったので、また出かけた。天気は下り坂で午後には雨が落ちそうな空模様。確か、こどもの日は晴天の特異日ではなかったか。最近の国民の祝日の決め方は節操がないので、お天道様もつむじを曲げたか。フロントガラスに細かな雨粒が付いたり消えたり、降り出すところまではいかない。田辺から国道307号を宇治田原へ、禅定寺からゴルフ場の間を抜けて南郷に出るお馴染みの抜け道ルートで湖南アルプス登山口に達する。堂山への登り口を過ぎて少し奥に進んだところが不動寺への山道のはじまりとなる。山歩きなら堂山のほうが変化があって面白いが、この沢筋の道は田上集落からの参詣道が本来の姿なのだろう。

地蔵さんのところで車を置き、堰堤の脇を登って再び車道に出る。そこからわずかの距離で不動橋、沢を渡ると捲き道から尾根に出る。花崗岩の湖南アルプス特有の登りがしばらく続く。このあたりは松茸が取れるので秋の入山禁止の表示が随所にある。
 昔からの参詣道なので、途中には古い石像がある。不動尊は当然にしても、切支丹のものかと思うようなエキゾチックな風貌のものも。

尾根筋の参詣道は林間の散歩という趣き、この空模様のせいもあってか人の姿は全くない。静かなものだ。太神山は「たなかみやま」と読む。麓の集落の田上も同じ読みだから、守り本尊ということなのだろう。お寺の境内が広場になっていて不動明王がにらみを効かせているから、ここが頂上と思うと、さにあらず。さらに長い石段を登ったところにお堂がある。岩の上の木組、三朝温泉の近くの投入堂を思い出す。昔の人は山の上にこんなたいそうなものをよく建てたものだ。

お堂の脇にいちおう三角点はある。三角点より遙かむかしにお堂が出来ているのだから、遠慮がちである。劔岳にしたって陸地測量部が登ったときには頂上に錫杖と鉄剣が残されていたのだから。

誰も登ってこない山頂でお弁当を食べていたら、そろそろ雨になってきた。傘をさしながらのんびりと往路を戻る。田上の集落ではお祭りで、警官が出て通行規制中。古い村は川筋から少し離れている。押し流された土砂が堆積したあたりは新興住宅地になっている。上流に砂防対策が施されているとはいえ、侵食のスピードは速く、鎧ダムは完全に砂で埋まっている。記録的豪雨ともなれば居住地としての適不適が明白になるかも知れない。

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