山背古道を歩く
2014/5/25

JRの駅でもらったハイキングの冊子を見ていたら、山背古道を歩くコースが載っていた。ちょっと前にカミサンと車で行った蟹満寺のあたりに山背古道という標識があったから、あのあたりか、行ってみよう、ということで集合場所の木津川市役所に。

北の城陽と南の木津川からスタートして山背古道の半分ずつのコース、歩き足りない人は通しでもよいということらしい、配布された地図は2枚だ。天気がよくて気温も上がりそう。出発前に日焼け止めを塗ってとリュックから取りだしたら、何と、花粉症対策の鼻スプレーじゃないか。棚の上に並んでいた容器を取り違えて放り込んだのだ。田舎のこと、途中にドラッグストアもないだろうし、これは日焼け覚悟。

木津駅東側の丘陵、むかし大仏鐵道が走っていたあたりは大規模宅地開発の真っ最中、JRの路線が四通する木津は快速も頻繁に発着し、奈良は言うに及ばず大阪・京都もふつうに通勤圏内になったからだろう。もちろん山背古道は木津の古い集落を抜けていく。木津川を渡るところだけ国道24号線に設けられた歩道を歩く。川の上からは西の山背盆地、生駒山方面の展望が開ける。

普段、車で走っているときには気づかないことが歩いていると色々と目に入る。木津川大橋からの眺めもそうだが、渡りきったところの巨大なお地蔵さんにはたまげた。大仏並みの大きさ、日本一なのかどうか知らないが、笑ってしまうほどの体躯である。

この先、茶問屋が建ち並ぶ古い街並みとなる。木津川の水運を利用して茶どころから集荷された製品が大阪に向けて送られていたのだという。歩いてみなければ目にすることもない場所だ。

JR奈良線の棚倉駅の向かい側に沸出宮の石標、少し奥に行くと人気のない古いお宮さんがある。ここでお弁当。この駅前には蟹満寺の大きな石標もある。山背古道も当然ここを通る。蟹満寺は少し前に車で訪れたばかりだ。そのときに本堂の拝観もしたので今回はパス。中には美しく立派な阿弥陀如来が鎮座している。この寺の由来は今昔物語に出ている蟹の恩返しの話である。あちこちに蟹の意匠が施されているのが面白い。古い仏像が安置された本堂がやけに新しいのが気になる。補修と言うよりはこれは改築だろう。さすがに、年中行事として蟹供養が行われる古刹、蟹料理の有名店からの寄進もあるようだ。

蟹満寺を後にして竹林の間を縫うコースに従い終点の玉水駅に向かう。この駅はいつも青春18きっぷを買いに来るところ。駅の窓口にJRのオンライン端末がないので、裏に磁気の入っていない一筆箋ぐらいの大きな赤いきっぷが買える数少ない駅のひとつ、発売開始後すぐに全国のマニアが購入するので赤きっぷは早々に完売となる。

そんなことからも知れるように、電化されて京都・奈良間の快速も走っているとは言え、雰囲気はローカル線そのもの。木津川に東の山から流れ込む天井川のトンネルをいくつも潜っていく。知らない人はトンネルの上は丘か道路だと思うことだろう。

5月なのに充分に暑い一日、山背古道の道筋はいま花盛り、ということで真夏とは違うことに気づく。石垣に、畦道に、民家の玄関先に、ずいぶんの種類の色と形で咲いていて、目を楽しませてくれる。日焼け止めを忘れたせいですっかり日焼けしてしまったが。

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