伊賀の靈山に登る
2015/4/26

先日、錫杖ヶ岳に登ったとき、その近くの靈山にも行ってみるかという気になり、さっそく実行。どちらも名阪国道でのアクセスが容易な山だ。インターからいきなり林道というのも同じ、案内板がなければこれでいいのかと思うような道の落差だ。

山の西側の霊山寺(れいざんじ)が登山口となる。同じ名前のお寺は自宅の近くにもあるが、こちらは霊山寺(りょうせんじ)、多くの国宝や重文を擁するほか、これからの季節はバラ園が賑わう。さらには宿泊や宴会場、温泉施設にゴルフ練習場、収益事業として課税されているのかどうか知らないが、呆れるほどの多角経営だ。今回の伊賀の霊山寺は桜の名所とのことだが、小ぢんまりとした本堂があるだけの慎ましい佇まい、参拝する人影もない。

本堂の脇から登山道が続いており、しばらく行くと一合目の標石が現れる。頂上まで2kmの道のりということか。これも錫杖ヶ岳と同じパターン。休みなしで1時間もあれば頂上なので、膝に不安を抱える身にとってはちょうどいいウォーキングだ。六地蔵とか太鼓岩とか、道筋に命名された事物が多いのは嘗ては信仰登山が盛んだったのだろう。何合目という標石もそのひとつか。なかなか次の標石が現れないなあと思っていたら飛びがあり、四合目と六合目は確認できなかった。倒壊して隠れてしまったのかも知れない。ヨナ抜きなら日本固有のものだけどなんて、全く関係ないことを連想する。

頂上、十合目の石標が置かれているのは階段を上がった小さな切通しふうの場所、ここがてっぺんなのかと見渡せば山頂は窪地になっているのだ。まさかカルデラでもあるまいと案内板を読んでみたら、ここには平安時代に大伽藍があったのだとか。伝教大師(最澄)が嵯峨天皇の勅願により創建と書かれているが、窪地の石室に収められた仏像以外にはそれらしい風情はない。さほど広い山頂ではないから奥の院がここだとして、ほかの伽藍の配置は芭蕉の句碑のあった少し下、馬酔木の群落のあたりか。

窪地を囲む山頂一帯は気持ちのいい草原になっている。北側の伊賀盆地の眺めがよい。錫杖ヶ岳の方向は無線中継所の建物が邪魔をして眺望は得られない。あの屋上に上れば360°遮るものがないはずだけど、施設内立入禁止が恨めしい。お弁当を食べてゴロンとするのに最適、暑すぎもせずちょうどいい陽気、のどかな春の里山の風情そのもの。

奇妙な窪地の霊山山頂 (ダブルクリックすると拡大しスクロール、クリックでもとに戻る)

ささっと下って、時間もあるし、大山田温泉さるびのに寄り道する。靈山からは南にそれるので帰りは名阪国道じゃなく国道163号になる。最近はどこにでもある日帰り温泉だけど、入浴800円とスーパー銭湯にしちゃ高めの価格設定、いやいや事前の情報収集によると4月26日はサービスデーで500円、これはきっと「フロの日」の御利益に違いない。

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