またも墓めぐり ~ 佐紀盾列古墳群
2015/5/4

今日は一人でウォーキング、奈良では平城京天平祭が開催されていて、それに合わせた駅長お薦めフリーハイキングがある。ほんと、この季節、週末にはどこかでイベントがある。近鉄に限らずJRでも各私鉄でもやっていて、週末の乗客を確保しようと熱心な取組だ。こうなると路線が長く沿線に観光資源が豊富な近鉄に強みがある。大和西大寺駅が今日のスタート・ゴールだ。

駅を降りたらすぐに駅名由来の西大寺の境内に入る。東門の手前にはガトー・ド・ボワがあり、逆コースならお土産に世界チャンピオンになったここのケーキを買って帰るんだけど、これから2時間ほど歩くので別の機会にしよう。5月から趣味と実益を兼ねて職業訓練に毎日西大寺まで通っているのだし。

東門から入り境内を南門に抜ける。前にカミサンと一通り拝観しているので藤棚に目を遣るぐらいで素通り。いくつかの神社が並ぶ歴史の道を北に、近鉄奈良線の踏切を渡って秋篠寺に向かう。車道から人がようやく通れるような畦道に近い小径に変わったり、古い社と新築の家が混在したり、歩いてみると普段電車の中から眺めているのとはだいぶ違った印象だ。

少し雨も降ったせいか、秋篠寺境内の苔がひときわ鮮やかな緑になっている。やんごとない宮号に採用されて知名度は一気に高まったはずだけど、ここは足の便があまりよくないためか観光客の姿は少ない。こちらも拝観せずに境内の通り抜けだったけど、無料で観られるこの庭は値打ちがある。これが京都の寺院だったら間違いなく門のところで入場料を取る。周りは田圃や畑が多いし農村の佇まいは変わらない。もっとも競輪場や少年刑務所とも近く、それも寺社巡りの人が敬遠する一因かも知れないなあ。

秋篠寺から先はまたも古墳を巡るハイキングとなる。この古墳というのは近くで見ると、丘というか森というか愛想のないもの。天皇陵は宮内庁の管理下にあり、どこも同じように標識が立っていて、同じように柵が張り巡らされている。まるでファミリーレストランのチェーン店か、あの宗教団体の会館のよう。と不謹慎なことを言っているが、このあたりに連なっているのは神功皇后稜、成務天皇陵、日葉酢媛命稜、稱德天皇稜である。

最後の稱德天皇稜は手許の1/25000分地図には孝謙天皇稜と表示されている。これは間違いではなく同一人物、奈良時代の女帝で退位した後に再び即位した人、重祚というのだそうだが、歴代の天皇で二人の名が残っている。二度目の即位後、稱德天皇のときには国家を揺るがしたスキャンダル、道鏡との関係が物議を醸した人だ。関係はなかろうが、地図で見ると他の陵に比べると小振りだし整備状況もいまひとつだ。

天皇陵のあと、コースは瓢箪山古墳にさしかかる。ここは国の史跡とはなっているが皇室とは無関係のようで立入り可能、墳丘の上でピクニックなんてことも出来そうだ。いったいどれだけの古墳が奈良にはあるんだろう。奈良商工会議所が主催している「奈良まほろばソムリエ検定」のテキストが市販されているが、それこそ古墳のことばかり書いてあるという印象だったなあ。

ハイキングコースは佐紀盾列古墳群を抜けて平城宮跡に向かう。途中に横田福栄堂という老舗があり、ハイキング参加者に特典ありということで覗いてみる。店のご主人とおぼしき人から名物みそせんべいを二ついただく。さっそく食べてみると、醤油と味噌のコンビネーションが結構なお味だ。買わずに出るのも何なので五つ入り216円を購入すると、オマケに瓦せんべいとピーナツせんべいが一つずつ。買ったと同じぐらい頂戴したことになる。この鷹揚さがいかにも奈良。

平城宮跡では何やらイベントをやっているらしい音がしているが、何せ広いものだからどこなのかも定かでない。特に観たいわけでもないから木陰でお弁当だ。最近、平城京跡の一角にあった積水ハウスが移転したので更地が拡大している。遷都1300年のとき大極殿を復元したあと、これから何か建てていくのだろうか。のっぺりとそのままでもいいような気がする。奈良県も奈良市も財政難だから無理はしなくていいよ。

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