阪神なんば線を歩く
2015/9/13

日曜日は雨という予報どおり、起きたときは生憎の空模様、山登りもなんだしとハイキング情報を探していたら、「三つの島名所・史跡巡り"佃・中島・百島" 歴史コース」というのに目が止まる。JR東西線加島駅に9:45集合なので、ゆっくり間に合う。仕事で外に出ていた頃、あの辺りの会社や医療機関を訪問したことがある。点を線で繋いでみるのも面白そうだ。

加島駅の出口 集合場所の公園では少年野球 ウォーキングの人たち 神崎川

殺風景な加島駅の出口から少し歩いた公園が集合場所、横のグランドでは少年野球の試合の真っ最中、隣ではオッサン・オバハンというか、ジジ・ババが大勢集まっている。見事な対比で年齢層は完全に中抜き、かく言う私も後者の一人だ。休日の早朝から動き出すのはこういう人たちと相場が決まっている。

JR西日本のイベントではあるが、NPO法人大阪・関西歩け歩け協会というところが主催していて、JRは運営を丸投げしているのが実態のよう。近鉄のハイキングのように鉄道会社の職員が直接関与している様子はない。参加料の500円は保険料などに充当されるにしても、地図のコピー代とかを入れても一人あたり100円もしないはず。となると残りのお金はどうなっているのだろうと少し気になる。参加人数にもよるがスタッフの諸経費などを補っても余りがありそうだ。主催者のホームページを覗いてみるとイベント情報が中心で、NPO法人としての財務情報の開示などは見当たらない。

海抜-1.4mの表示 浸水予想マップ 田蓑神社 紀貫之の歌碑 佃漁民の碑

つまらないことは気にしないで歩き出す。高村薫の小説の舞台になっている神崎川周辺は、阪神工業地帯の核心部で中小の工場が立ち並ぶ。今日は日曜日なので静かだが、平日はいろんな音や臭いに満ちていることだろう。神崎川の堤防は改修工事が進んでいる。南海トラフが暴れると液状化が懸念される地盤だし、そもそも海抜以下の場所も広がっている。河岸の新しいマンションの一階部分に住戸はない。二階でようやく神崎川の水面の高さだ。最近の台風で起きた鬼怒川氾濫のニュースを見るに、こういう場所で暮らすことのリスクは大きい。

神崎大橋を渡って、佃に入る。ここは神崎川と左門殿川に挟まれた島で、東京の地名のように「島」は付かず、ただの「佃」という。この島の端っこにあるのが田蓑神社、佃の昔の呼称は田蓑島だったらしい。境内に紀貫之の歌碑がある。「雨により田蓑の島をけふゆけば なにはかくれぬものにぞありける」という作で、古今和歌集に収められているらしい。私にはただの言葉遊びのようで秀歌とは言いがたい気がする。中之島と堂島を繋ぐ田蓑橋という橋があるが、あれとは関係があるんだろうか。

その歌碑と並んで佃漁民ゆかりの地という石碑もある。徳川家康の頃にここの住民が江戸に移り住んだのが佃島だ。今でも両地の小学校同士の交流があるとか。ルーツは400年以上も前に遡るから、親戚がいるかどうかもきっと判らないだろう。佃煮というのも江戸発祥と思っている東京人も多いかと思うが、佃の漁民が持って行ったのか、移住してから開発したのか諸説あるようだ。

まあ、こういう話は多くて、晩にテレビを見ていたら、東京でいう「くず餅」は実は「葛」ではなく、地名葛飾の「葛」を取って命名されたものとか。芋の澱粉が原料で、吉野葛で作る大和の「葛餅」とは全く別物のお菓子、後からほんとうの葛餅があると知った製造元が漢字表記をひらがなに改めたというオチまであるそうな。元祖らしい船橋屋の人がインタビューで答えていたから間違いあるまい。このあたりをヘンに誤魔化さないのが江戸っ子らしい。

中島の工場 西島川 西島水門 淀川河口近く

そんなくだらないことを思いながら境内をウロウロしていると、ハイキング最後尾のスタッフからやんわりと出発を促される。「私はぶらぶらと行きますから、先にどうぞ」と言っても許してもらえそうじゃない。これは困った、ちょっと主催者が悪かったかな。何せ脇目も振らず「歩け歩け」の人たちだから、健康マニアが揃っているようだ。群れるのが全く性分に合わない私なので、行軍よろしく一列で進むのは願い下げだ。休憩の後は列の前方に移動、阪神出来島駅前のコンビニで飲み物を買ったついで、隊列をやり過ごしエスケープ、やったやった、上手く撒いたぞ。ごめんなさいね。

大阪市内のビル群

一行が中島に渡り公園で昼食の頃、出来島からそのまま真っ直ぐ西島川沿いを進む。川と言っても神崎川から分かれた短い運河だ。 これが淀川本流に合流するところが西島水門、ここからは予定コースに先回り、しばし堤防の上を行く。朝は降っていたのにすっかり晴れ上がり、ウインドサーフィンに興ずる人の姿も見える。大阪湾に注ぐ河口に近い場所、川幅もずいぶんと広い。市内のビル群をこういうアングルで眺めることはあまりないものだ。

大野川緑陰道路 大野川緑陰道路の案内図 阪神なんば線の福駅

河岸を離れ大野川緑陰道路という自転車道と歩道が並ぶ道を行く。名のとおり川を埋め立てた後に作られたもの。あっちは暗渠だけど東京の玉川上水緑道とちょっと似た感じだ。この道はかなり長く、国道43号、阪神なんば線、阪神本線などを横切りハイキングのゴールであるJR御幣島駅付近まで続いている。別にJRに義理はないので、阪神なんば線の福駅で 私のウォーキングはおしまい。部隊を脱走したかげんでお昼ご飯はまだだもの。

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