リンゴは腐っているか 〜 Appleサポートとの消耗バトル
2015/9/26

Apple社の事務処理ミスにより、全く別人のiPhone修理手続のメールを一週間に3通受信した。私はMacBookユーザーではあるが、そもそもiPhoneは所持していない。まさか修理代金まで請求されることはないと思うが、いったいどうなっているのか心配だ。

問い合わせの電話は待たされ、その都度複数担当者に同じ説明を繰り返し、この件で何時間費やしだろう。とうとうカスタマーリレーションの最上席の責任者にまで至ったが、問題は一向に解決していない。当方が求めているのは、書面(またはメール)によるきちんとした事情説明(および謝罪)だけである。

この過程で判ったのは、世界に冠たるIT企業での情報管理の信じがたいルーズさと、顧客対応の拙劣さだった。折しもiPhone6s発売で盛り上がっているけど、Appleユーザーにとっては人ごとでなくなる日が来るかも知れないので、敢えて書いておきたい。ビッグカンパニーにとっては一人のユーザーなどゴミのような存在かも知れないし、自分でも蟷螂の斧そのものだと思うのだが、黙っていては何も変わらない。

Appleからの間違いメール

少し長くなるが、時系列に経緯を述べたい。Apple社からはドキュメントが一切提供されないので、電話のやりとりの中で判明した事実(と思われる)ことになる。

(1) 9月7日 11:34

Appleサポートから「修理のお申し込み完了のお知らせ」というメールが届く。 内容はiPhone5Sの修理申込みを受け付けたというもの。私は、iPhone5Sなど持っていないので、何かの間違いか、私の名を騙る第三者の作為かと疑う。

(2) 9月7日 18:33

Appleサポートから「交換品の発送についてのお知らせ」というメールが届く。修理期間中の代替品を送る手はずのようだ。1通目に踵を接し、これが2通目の不審メールである。

(3) 9月8日 夕刻

Appleサポートに電話する。こんな案件に特化した窓口はないため、iPhoneの担当が応対する。iPhoneを持っていない人間がiPhoneの修理の件で電話していることを、なかなか先方は理解できない。繰り返し説明し、ようやく別人に通知すべきところを間違って私宛にメール送信したことを理解したようす。何度かの電話のやりとりで判明したのは、次のような事柄。

修理を依頼したのは、福岡県在住の実在の人物で、私(奈良県在住)と同姓同名。修理を電話で受け付けた際に、Appleでは福岡県の人物の住所は聴取したが、メールアドレスについては聴取せず、Appleに登録されていた私のアドレスを誤ってメールの宛先としたもよう。その結果、私へのメール誤配信に至った。逆に福岡県の修理依頼者には何も連絡がなされていないはず。

Appleのミスであることが明らかになったが、請求書が来たわけではないので金銭的な実害には繋がらないだろう。しかし、何故こんな低次元の事務ミスが生じるのか理解に苦しむので、原因と現状、今後の対応等につき、1週間以内に報告してほしい旨を担当者に伝える。

(4) 9月14日 夕刻

週末をはさんで、何度かAppleサポートから私の携帯に電話が着信するも、所用中等で通話できず。当方で設定した1週間の期限を待たず、既に問題が解決したのではと、当方からAppleサポートに電話する。

8日に応対したAppleサポートの担当者は不在で、改めて一から窓口担当者に説明する羽目になる。この担当者の手に余る案件との判断らしく、上席のスペシャリストに代わる。

本件により当方が迷惑を被っていることに先方は理解を示し、電話口でお詫びされるが、当方としては、先に依頼した本件の原因と現状、今後の対応等について確認したいので、その点について問い質すも満足な回答は得られなかった。

このスペシャリストの手にも余ったのだろう、別の部署、カスタマーリレーションの担当者に代わる。そして、この日3人目への説明となる。一連の話の内容では、Apple社内の修理担当部署でのメールアドレスの登録が誤っていたので、福岡県の人物と私のメールアドレスの紐付けを即刻削除するとのことであった。該当部署への厳重注意も行うとのこと。

当方としては、個人情報の管理があまりにも杜撰であること、事務処理の際の人為ミスへのフェイルセーフの仕組が全くないこと、私の最初の申し出から数日経過する間に当座のミスリカバリーがされていてないこと、部署間・担当者間の連絡や情報共有が不十分なこと等、逐一具体的な指摘を交えApple社対応への不信感を申し述べた。とにかく突っ込みどころ満載なのだ。そして、本件についてApple社からの書面報告を求めたところ、社内規程により書面は出せないの一点張りであり、なぜ出せないのかの理由説明ができない。多分そんなことは考えたこともないのだろう。3名への電話は担当者交代の保留時間も含め3時間以上に及んだ。

(5) 9月14日 23:03

Appleサポートから「製品をお送りいただき、ありがとうございました」というメールが届く。これが3通目の間違いメールだ。件のiPhoneの修理完了連絡である。電話でカスタマーリレーションの担当者と議論してから半日も経っていない。まるで嫌がらせか、悪い冗談のようだ。Apple社が言うとおりならミス修復の対処は済んでいるはずだが、その矢先に未対応であることが端なくも露見したわけだ。

(6) 9月15日 夕刻

ここまで来ると、さすがに私も腹に据えかねる状態となり、前日に続きAppleサポートに電話する。

また、例によって窓口担当者、スペシャリスト、カスタマーリレーションの担当者と、3人に説明し、苦言を呈する。全て前日の担当者とは別人だ。今回はカスタマーリレーションの担当者と話したあと、その部署の最上位という人が電話口に出る。本日4人目となる。理屈ではちょっと勝てそうもない相手ということで、VIP(問題顧客?)に格上げされたのかも。4人目の人、本人が私より上の責任者はいないと言うから、多分そうなんだろう。

ミス修復の対応と発信予定メール蓄積のタイムラグがあって、三たび誤発信となってしまったようだとかの説明だが、それなら、その可能性を留保した説明を昨日すべきだし、蓄積された発信予定メールから該当のものを速やかに抽出削除することも、技術的には可能なことである。要はきちんと対応する気があるのかどうかを糾した訳だ。

当方の要求する書面での説明については、先方の対応は同じ。社内規程により出せないとの言い訳から一歩も出ない。では、その規程を見せてほしいと言っても、対応してくれないのは判っている。いちおう要求してみるが、案の定。所詮規程など社内で決めること、規程によりできないというなら、その規程の妥当性について議論したいので、然るべき人と話がしたいと伝える。

結局のところ、この担当者が最上位職で、日本法人には条理を踏まえて物事を判断出来る組織もなく、人もいないというのが現実のようだ。つまり、米国法人の出先にすぎず当事者能力は限定的ということだ。

連日の非生産的なやりとりで当方のフラストレーションも嵩じており、こちらも「上から下までマニュアルどおりの対応しか出来ない、判断・思考停止というのではバカ同然ではないか」程度の挑発的言辞を弄したのは事実だが、先方から「自分に関係ないメールだったら無視すればいい」との信じ難い暴言が飛び出したのには呆れてしまった。

顧客応対は日常的には部下が対応し、この人自身が直接電話応対することは少ないのだろうと思う。そうでなければ、カスタマー窓口部署なら絶対に言ってはならない言葉が簡単に口をつくはずがない。いったい私のことを悪質なクレイマーだとでも思っているのだろうか。もとはと言えば、Apple社のミスで迷惑を被った一人のユーザーだということを忘れている(こちらのほうも、何だか訳が判らなくなってくる)。思うに、これは普通の会社なら社内処分ものの発言だ。Apple社では企業防衛の観点(表向きにはそうは言っていないが)から電話を録音しているようだから、監査部門(Apple日本法人にあるのかどうか)で確認するか、ご本人が反省のために聴き直してもらいたいほど。

この人が一方的に終結宣言をしたので、Appleサポートとのやりとりは終わる。これ以上この部署に言っても埒があかないのは、私とてもとより判っている。言うべきことは言った。先方にすれば、思わぬところを突かれたということかも知れない。さて、次の一手をどうするか、落ち着いて考えてみよう。

Appleからのアンケート

カスタマーリレーションからは、ご丁寧に問い合わせに関するアンケート調査がメールで送られてきた(こちらは宛先ミスではなさそう)。もちろん、本件の要約と当方の要求を改めて伝えたことは言うまでもない。

このアンケート回答に対して、きちんとした返信メールが帰ってくればそれでいいんだが、10日間経過してもiPhone6sのプロモーションメールなら何通も来るのに、肝心の返信はない。

最初のボタンのかけ間違いがこんなことになる。それにしても、このアンケートに書かれた文言の白々しさには吹き出しそうだ。ほんと、どこまでもジョークが好きな会社のようだ。泉下のジョブズはどう思うだろうか。

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