山背古道の残り半分 〜 二年越しの踏破
2015/11/29

去年の5月に、木津駅から玉水駅まで山背古道の南半分を歩いた。春と秋にこのウォーキング行事が開催されていて、その都度案内の葉書が届く。今回はカミサンを誘って北半分を歩くことにした。スタートはJR奈良線の城陽駅。近鉄で行くと京都線の大久保駅からJR奈良線の新田駅まで500mほど歩いて乗り換え、そこから一駅奈良方面に戻ればいい。この乗り換えは地元の人でなければ、てっちゃんしか知らないだろう。

山背古道のあたりの地図 水度神社の参道 水度神社の本殿

駅前で案内マップをもらって、まちまちに出発。いろんなパンフレットに加え、タオルまでついているぞ。山背古道をPRしよういう地元の意気込みだろう。駅から少し行くと神社の参道になる。水度神社、いったい何と読むのかな。ああだ、こうだとカミサンと話しているうちに境内に入ると、「みと」神社のふりがながあった。そういうことだったのか。

JR奈良線は山城盆地の東側の山麓の町を結んでいる。したがって、水度神社の奥はすぐに上り坂、鴻ノ巣山という丘陵地帯になる。ここも神社の土地らしい。町のすぐ近くに自然林があるというのはいいな。もっとも、「蜂に注意」の看板が目につくので、歓迎されざるスズメバチの巣もあるのだろう。

鴻の巣山からの眺め

丘陵の中を進むと運動公園に出る。ここはむかし子供を連れて来たことがある。長い滑り台で思い出す。クリスマスのデコレーションが作られていて、来月になればライトアップするようだ。運動公園のあたり、奥に進むと大規模な採石場になっている。近鉄京都線から眺めると、断崖のように断層のように見えるのはこれか。丘陵を削って平らになったところが公園かも。さらに奥には自衛隊の演習場がある。近鉄大久保駅前には駐屯地があるので、ここで訓練しているのだろう。山背古道の途中には「左 長池陸軍演習場道」なんて石標があるぐらいだから、昔からそういう場所だったんだ。

鴻の巣山の道 城陽市総合運動公園 長池演習場への石標 採石場跡の公園

鴻ノ巣山を経由するコースは本当に山背古道なんだろうか。東に大きく迂回して長池に戻るルートは、きっとウォーキング用に後から設定したものだろう。ふつうに考えれば、わざわざ山に登らずアップダウンなしに素直に南下するはずだから、この長池あたりから古道だと思われる。とか何とか、ブラタモリみたいなことを喋りながら歩く。道ばたに渋柿の古木、細長い実がたくさんついている。こういうのはいかにも古道に相応しい。
 JRの駅で言うと山城青谷にちかい中天満神社がチェックポイント、ここでは地元特産の梅ジュースの振る舞いがある。2時間ほど歩いたあと、甘酸っぱい味がなかなかいい。

渋柿の古木 中天満宮での梅ジュース振舞 中天満宮

その先、山城多賀駅に近いところにあるのが高神社。石段が長く登っている。「さあ、行くわよ」とカミサンがやたら元気、階段に萌えるとは知らなかった。こりゃあバスケットボールの階段トレの刷り込みかな。ということで、コースには含まれないがお付き合い。読み方は「たか」神社、そりゃそうだ、「高」と「多賀」、地名に別の漢字を充てることはよくあること。

本殿は桃山時代のもののようで、なかなか立派だ。ウォーキングのルート外なので人の姿もない。神職の姿もないようで無人の神社かな。本殿脇に並んだ石柱を見て驚いた。
「ちょっと、これ見てみ。い、いっせんまんえんやで!」
「ええーっ!」
「この人、馬主らしいで。中央競馬300勝達成記念とか横に彫ってあるわ」
「税金取られるぐらいなら、なのかしら」
「どうせ博打の金やしなあ」

寄付者の名前は八木良次、ここ京都府綴喜郡井手町にある建設会社のオーナーのようだ。隣の宇治田原町に馬のトレーニングセンターまであるそうな。そればかりか北海道にも持っているとか。タガノ○○○○という競走馬を何頭も持ち、重ねた勝利数が300ということか。競馬界では夙に有名な人のようだ。そんなことには全く興味がない私たちはともかく、井手町の在の人なら誰でも知っているのだろう。それにしても気前のいいこと。

高神社 高神社の奇妙な絵馬 高神社の1000万円寄付金の石柱

井手町に入ればゴールは近い。このウォーキングはどこで止めてもOKだし、全コース踏破する人も多いみたいだ。南から来る人とすれ違うことが増えてきたのは、木津から城陽まで踏破しようという人たちだ。それに混じってゼッケンをつけて走っているのや歩いているのや判らない人たちもいる。ゼッケンには何とかマラニックと書いてあるので、マラソンとピクニックのミックスなのか、いまどきそんなスポーツもあるのか。

小野小町の墓 山吹ふれあいセンターでのイベント

前にも来たことのある小野小町の墓、全国あちこちに存在するので眉唾のところだが、墓石の能書きにはここの信憑性の高さを強調する文言がちりばめられている。きっと余所でもそうなんだろう。

井手町の山吹ふれあいセンターが全コースの中間点になる。私たちはここまでのつもり。山背古道ウォーキング以外にも、さっきのマラニックはじめイベントが開催されているらしく賑やかだ。季節はずれの流し素麺は無料、特産品販売のテントも並んでいる。古代衣装に身を包んだ若者が多数、彼らは何をしていたんだろう。地元在住の落語家の野外高座も始まったぞ。でも、あまり上手とは言いがたく途中で失礼して、玉川沿いに駅まで下っていく。約14kmのウォーキングだった。

今日は11月29日、明後日にはまたこの玉水駅に来るつもり。そう、ここは全国でも数少ない、赤い青春18きっぷの販売駅なのだ。

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