️始まったぞ、酒蔵みてある記
2015/12/19

12月になると近鉄のハイキング情報が楽しみになる。冬のあいだ毎週のように開催される「酒蔵みてある記」、あまり何回も行くものだから近場の酒造は行き尽くした感もある。同じ酒蔵でも少しずつウォーキングのコースは変わるにしても、それも限界がある。とか何とか言いながら、つい出かけてしまう左きき。

本日は「稲天」、天理の稲田酒造ということで、ここは初参加だし、コースも半分ぐらいは初めて歩くところだ。カミサンも行くというので、帰りのドライバーが確保できたので、近鉄電車じゃなく車で出かける。天理は遠くないけど、電車は2回乗換があるのだ。運賃も一人片道400円、コストは比較にならない。

天理駅 丹波市の街並み 市座神社

来年は教祖130年祭らしい。つまり、中山みき没後130年、天理駅前や本通りのアーケードには大きな横断幕や吊り広告が目立つ。広い駅前も整備が進んでいる。ウォーキング受付は9:30からなのに、マップ片手に歩き出している人もいるぞ。年寄りは早起き、いや酒呑みは待ちきれないのだろうか。人のことは言えないが。

歩き出すとコースはすぐに南に向かう。この道は奈良から桜井方面への上街道にあたる。最初のスポットは丹波市の市場の跡だ。狭い通りが100mほどの区間だけ広くなって、道路上に屋根がある。このあたりが、昔の町の中心らしい。「たんばし」と読めば最近出来た兵庫県の自治体だが、こちらは「たんばいち」だ。町村合併して天理市になる前は、駅名も「たんばいち」だった。そのことを知っている人は、今は少なくなっているだろう。昔のアーケードの隣が市座神社。八日えびす祭の幟が鮮やかだ。

藤の棚 夜都伎神社 夜都伎神社の新しい茅葺き 山辺の道の道標

今は万葉まほろば線という愛称がついているJR桜井線に沿って南に進み、次のスポットが藤の棚、民家の隣にぽつんと藤棚があるだけだが、上街道の休憩所だったのだろう。ここで一休みした芭蕉の句碑がある。「草臥れて宿かる比や藤の花」というのは、「笈の小文」に収められた一句のよう。当たり前のことだが、昔はどこに行くのも歩きだったのだ。

ここからコースは東に転じ山のほうに向かっていく。山裾を南北に続く古道、山辺の道に出合うところが夜都伎神社。ここからは北に石上神宮までは何度か歩いたことのある山辺の道を辿る。夜都伎神社の拝殿は30年ぶりに最近葺き替えられたという茅葺き屋根だ。

十月桜 天理観光農園 石畳の道 石上神宮の鶏

さて、山辺の道に入ると我々とは逆方向、北から大神神社方面に向かう人とすれ違うことが多くなる。酒蔵ハイキングの参加者は間違いなく平均年齢が60を超えていて、うちのカミサンなんかはずいぶん若手になるぐらいだけど、向こうから来る人は若いカップルもいる。北行きと南行きの落差がなんとも可笑しい。

山裾を縫って続く道はけっこうアップダウンがある。途中の天理観光農園を過ぎて登りがきつくなる。ここは、着いて思い出した。以前、アメリカ人をホームステイさせたことがあり、そのときに受入家族の交流会の場所だった。そうだ、ここでバーベキューを食べたんだ。

石上神宮 天理教本部 稲田酒造 天理本通のアーケード

ミカン畑を抜けてしばらく行くともう石上神宮の境内、たくさん放し飼いになっている鶏はここの名物、カミサンが池の鴨か鯉にやるつもりで持ってきたパンくずが、格好のご馳走となる。あてがわれた餌箱には目もくれず、突進してきて手をつつく。奈良公園に野菜くずを持って行くと、せんべいを無視して鹿たちが取り囲むというのと同じだ。人間だって、毎日同じ食事じゃ嫌になる。

ここからは西へ一直線、石上神宮の何倍もの規模の天理教本部、今回はおそるおそる礼拝場に上がってみた。ここは24時間開いているらしい。信者のグループがいつくも固まって礼拝している。ここだけでも大変な広さだ。例月の祭のときには一杯になるのだろう。とにかく周辺には各地区別に母屋と呼ばれる大きな宿舎が100を超えるぐらいだから。これもずいぶん昔、東京の大学受験のときに親戚の信者の伝手で都内の天理教の協会に宿泊させてもらったことがあった。世界中の人々が仲良くたすけ合って暮らす「陽気ぐらし」世界の実現という天理教の理念に沿ったものだろうか。

歩いているうちに色々なことを思い出すものだ。それでゴールの稲田酒造に辿り着く。定番の甘酒振る舞いに酒蔵見学と試飲。お楽しみ抽選会は二人ともハズレ、当たった例しがない。もろみの発酵が進むとプチプチと音をたてるのを初めて聴いた。呼吸しているらしい。

例によって一升瓶をぶら下げて本通りのアーケードを歩く。ここには面白いものを売っている店、安い店が多くて、カミサンの歩みは鈍りがちだ。なくした手袋の替わりと大豆、全く脈絡のない買い物で、ようやく駐車場に戻る。料金が安くなる屋上に駐めたので400円で済んだ。近鉄にしてみれば旨味のない参加者だけど、天理の街には僅かばかりの経済効果があったとしよう。

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