屏風岩公苑の桜を観る
2016/4/16

見事なものだ。背景に屹立する屏風岩、まさに名のとおり、曽爾火山群の奇岩が今は花の引き立て役になっている。

屏風岩と桜
屏風岩と桜 (ダブルクリックすると拡大しスクロール、クリックでもとに戻る)

ここが知られるようになったのは最近のことだ。訪れるのはたぶん三度目になるが、バスでも来られる新しい駐車場が徒歩30分ぐらい下方に出来ている。好天の土曜日、既に駐車場は満杯だ。といっても山間の林道、路肩の空地にどこでも駐められる。カミサンと二人、お弁当を手に山を登る。屏風岩公苑は岸壁の直下に広がる平坦地、地形図を見ても等高線の間隔が広がった場所だ。ここに桜を植えた人の審美眼はなかなかのもの、紅葉の季節もいいが黒い岩肌に白に近い薄墨を配したさまは見飽きない。高そうなカメラを抱えた人が徘徊する一方で、お弁当を広げる家族連れや昼寝を決め込むオヤジの姿も。ここには酒盛りの連中はいない。

残念だったのは曽爾村に来ると必ず立ち寄る野菜販売所が休みだったこと。秋の観光シーズンの日曜日だけ店開きしているのかも。新鮮野菜の買い出しを目論んでいたが、これは当てが外れてしまった。帰りに大宇陀の道の駅に立ち寄ることにしよう。

今回、屏風岩公苑のほかに、もう一つの目的地があった。去年の秋、波瀬の天開山泰運寺に紅葉を観に行ったとき、時間がなくて寄れなかった月出の中央構造線だ。泰運寺の境内にも小規模な露頭があったが、その続きで遙かに大規模なプレートの裂け目があるらしい。長野県の大鹿村で中央構造線の露頭を見たことがあるのに、ずっと近くの月出には行ったことがなかった。

県道28号でひと山越え、さらに国道166号で高見峠を越える。泰運寺への分岐の少し先から月出集落に向かう。集落のはずれには獣害除けのフェンスがあり、これを開けてワサビ谷に分け入る林道を進む。この先には三峰山の三重県側の登山口もある。観察地点まで車でも行けると看板には書かれていたが、山腹を捲いてワサビ谷に出合う箇所でストップ、ここから谷沿いに10分ほど歩いて下る。車で走れなくもないが相当な急勾配だ。

中央構造線の露頭のところは小公園になっている。見学用に整備されたようだが露頭部分に登る遊歩道は立入禁止となっている。もともと山崩れがあって発見されたのだから、その後に土石の崩落があっても不思議ではない。パンフレットに掲載されている写真だと右上から左下へ約60°に走る明瞭な線が見て取れるが、現状ではかなり土砂に埋もれている。それでも両層の違いは明らかだ。ふつうに暮らしている地面の下にこんな亀裂があるのだから、眺めて興味は尽きないにしても空恐ろしいものがある。時あたかもこの中央構造線の西の端では大地震が起きているだけに尚更のこと。

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